「補助金を受けたのに返還しなければならなくなることがあるの?」
中小企業成長加速化補助金には、賃上げ要件という厳格な条件が設けられており、これを達成できない場合には、補助金の返還が求められるケースがあります。
この記事では、補助金制度に潜む“落とし穴”とそのリスク回避の方法について、経営者目線で解説します。
補助金における「賃上げ要件」とは?
賃上げ達成が補助の前提条件
この補助金では、事業完了後3年間にわたって「給与支給総額」または「従業員・役員1人当たり支給総額」の年平均上昇率が、都道府県ごとに定められた基準率(最低賃金上昇率)以上であることが求められます。
賃上げの選択肢
- 給与支給総額(全体)
- 1人当たり給与支給総額(個別) ※どちらかを申請時に選択します。
賃上げ要件を満たせないとどうなる?
未達成=補助金の返還対象に
目標を達成できなかった場合は、未達成率に応じて補助金の返還が求められる仕組みです。たとえば、3年間で年平均3.5%の賃上げを計画していたが、実際には2.0%だった場合、一定割合の返還が発生します。
さらに返還対象となる例
- 基準年度の給与水準が前年度より下がっていた
- 賃上げ目標を従業員に表明していなかった
- 書類上の不備や整合性が確認できなかった
よくある誤解と見落としポイント
「補助金さえ通ればOK」は危険
補助金が交付された後の実行フェーズこそが重要。とくに人件費の増加に耐えられる財務計画があるかを事前に検証すべきです。
「目標は形式的でいい」は通用しない
申請時の賃上げ目標は、従業員への通知・共有が義務です。記録を残し、後の監査に備える必要があります。
「賃上げは最終年度だけ頑張ればいい」もNG
3年間の年平均が見られるため、途中年での大幅未達は全体に影響します。持続的に上昇傾向を保つ設計が必要です。
賃上げ要件の対策・リスク回避のポイント
① 財務と連動した人件費計画を立てる
売上・利益の見通しと連動させた、無理のない賃上げ設計がカギです。金融機関や税理士と連携して予算を固めましょう。
② 人事制度とセットで取り組む
評価制度・等級制度を見直すことで、持続的な昇給を制度として支える体制が構築できます。
③ 早期の目標共有と記録保存
目標は、交付決定までに従業員に表明する必要があります。掲示・社内説明会・文書配布など、実施と記録を確実に行いましょう。
まとめ|「もらって終わり」ではなく「使って育てる」補助金へ
中小企業成長加速化補助金は、単なる資金援助ではなく、企業の成長と従業員の処遇改善をセットで実現する制度です。
賃上げ要件は確かにハードルですが、同時に企業の「働き方改革」や「魅力的な職場づくり」の後押しでもあります。
リスクを理解し、戦略的に取り組むことで、補助金を成長の起爆剤として最大限に活用していきましょう。

