感染症の影響を受けた小規模事業者への支援強化として、令和3年度補正予算では「小規模事業者持続化補助金」の制度が大幅に拡充されました。従来の通常枠に加え、新たに複数の特別枠が設けられ、補助率や補助上限額の引き上げ、優先採択の導入などが行われています。
本記事では、持続化補助金の基本情報から、特別枠の内容、優先採択に関するポイントまで詳しく解説します。
小規模事業者持続化補助金の概要と制度の目的
経営力強化を目指す事業者へのサポート制度
小規模事業者持続化補助金は、販路の新規開拓や業務効率化など、経営改善に取り組む小規模事業者を対象とした補助制度です。経営計画を作成したうえで、商工会や商工会議所の支援を受けながら事業を実施することで、持続的な成長を支援します。
特に経営リソースが限られる小規模事業者にとって、マーケティングや設備投資に活用できるこの補助金は、経営基盤を強化する大きな手助けとなります。
小規模事業者の定義と対象者
業種ごとに小規模事業者の定義は異なりますが、概ね従業員数が20人以下(製造業やその他一部業種では5人以下)であることが条件です。なお、常時使用する従業員には、経営者本人やアルバイト・パートタイマーは含まれません。
通常枠の補助内容と活用事例の傾向
通常枠で補助される取り組みの具体例
通常枠では以下のような取り組みが補助対象となります。
- パンフレットやチラシの制作・配布
- インターネット広告や新聞広告の出稿
- 自社ウェブサイトやECサイトの構築・更新(補助金申請額の1/4が上限)
- 店舗の一部改装や改修
- 新商品の企画・開発
- 作業効率向上のための設備投資
- 展示会や商談会への出展
これらの活動は、いずれも販路開拓や顧客獲得、業務効率化を目的としていることが求められます。
通常枠の補助率と金額
- 補助率:対象経費の2/3
- 補助上限額:50万円
比較的申請しやすい内容であるため、はじめて補助金を活用する事業者にも適しています。
特別枠の拡充で広がる支援内容と対象
令和3年度補正予算で追加された特別枠の概要
令和3年度補正予算では、小規模事業者の多様な経営ステージに対応するため、以下の特別枠が新設されました。
- 賃金引上げ枠
- 卒業枠
- 後継者支援枠
- 創業枠
- インボイス枠
それぞれの枠には明確な対象者像と補助要件が設けられており、通常枠よりも高い補助上限が設定されているのが特徴です。
賃金引上げ枠の詳細とメリット
この枠は、地域別最低賃金より30円以上高い水準で従業員の賃金を引き上げる小規模事業者が対象です。雇用改善や従業員満足度の向上といった観点から、経営の健全化を図る事業者にとって有効な支援になります。
- 補助上限額:200万円
- 補助率:2/3(赤字事業者は3/4に引き上げ)
卒業枠の目的と申請条件
この枠は、従業員数を増やし、小規模事業者の定義を卒業する規模に成長することを目指す事業者が対象です。事業拡大と人材採用を積極的に進める企業に適した支援となっています。
- 補助上限額:200万円
- 補助率:2/3
創業や事業承継を支援する新陳代謝枠
後継者支援枠で次世代の経営を後押し
事業承継を予定している若手後継者を支援するための枠です。一定の条件(例:公的な事業承継支援プログラムへの参加)を満たす必要があり、地域内の事業継続や雇用維持にも寄与します。
- 補助上限額:200万円
- 補助率:2/3
創業枠の対象と事業展開の加速
過去3年以内に開業し、特定の創業支援事業を受けた事業者が対象です。創業直後の資金不足や認知度向上の課題を解消しやすく、軌道に乗るための後押しになります。
- 補助上限額:200万円
- 補助率:2/3
インボイス制度への対応を支援する枠も新設
インボイス制度の導入に対応し、免税事業者からインボイス発行事業者へ移行した事業者を支援します。2023年10月に制度が施行されたことを受け、影響を受ける小規模事業者へのサポートを強化しています。
- 補助上限額:100万円
- 補助率:2/3
地域資源を活かす事業者への優先採択措置
地域資源型・地域コミュニティ型とは何か
地域資源型は、伝統工芸・農産物など地元資源を活用して地域外に展開する事業者、地域コミュニティ型は、生活インフラや地域交流を担う事業者を指します。これらの事業者は、申請時に加点評価を受け、採択されやすくなります。
地域課題に取り組む小規模事業者の重要性
人口減少や高齢化が進む地域では、商業や雇用の維持が課題です。こうした地域に根差した事業者が持続的に活動できるよう、補助金制度で支援が行われています。地元の暮らしを支えるビジネスを展開する事業者こそ、今後の地域経済にとって欠かせない存在です。
補助金の申請方法と準備のポイント
持続化補助金の申請は、現在も随時公募が行われています。令和4年以降も継続されており、応募の際には最新の公募要領を確認することが重要です。
申請方法は電子申請(jGrants)と郵送の2通りがあります。電子申請を選ぶ場合は、GビズIDプライムの取得が必要となるため、余裕を持った準備が求められます。
持続化補助金を効果的に活用するために
補助金は単なる資金支援にとどまらず、事業戦略を見直す機会でもあります。経営計画の作成を通じて、自社の強みや課題を再確認し、成長に向けた明確なビジョンを描くことが重要です。
各種枠の選定や、優先採択を見据えた申請書の構成など、戦略的に進めることで採択率も向上します。
まとめ
小規模事業者持続化補助金は、販路拡大・業務効率化・地域貢献など、さまざまな経営課題に対して柔軟に対応できる制度です。令和3年度補正予算により、特別枠の新設や補助上限額の拡充が行われたことで、より多くの事業者にとって有効な支援手段となっています。
事業の現状や今後の展望に合わせて適切な枠を選び、補助金を最大限に活用することで、経営の安定と成長を実現する一歩となるでしょう。

