生産性向上特別措置法に基づく「先端設備等導入計画」は、中小企業が設備投資を通じて生産性を高めるための制度です。この計画を自治体に提出し認定を受けることで、最大3年間の固定資産税の特例や、融資、補助金申請時の加点など、複数の優遇措置が受けられます。
本記事では、制度の概要から対象要件、具体的な支援内容までを解説します。
中小企業の設備投資を後押しする生産性向上特別措置法
生産性向上特別措置法は、設備投資による中小企業の生産性向上を促す目的で2018年に施行されました。
政府は当初、2020年度までの3年間を「集中投資期間」と位置付けていましたが、その後も制度は継続的に運用され、現在でも設備導入計画の認定や固定資産税の特例措置は利用可能です。
先端設備等導入計画の概要と活用方法
対象事業者は資本金や従業員数によって異なる
本制度の対象となるのは、中小企業基本法で定められた中小企業や小規模事業者です。業種ごとに資本金や従業員数の基準が設けられており、特に固定資産税の軽減措置を受けるには、資本金が1億円以下で大企業の子会社でないことが条件となります。
労働生産性の向上が認定の条件になる
計画の認定にあたっては、「労働生産性が3%以上向上する見込み」が求められます。これは、営業利益、人件費、減価償却費の合計を労働投入量(従業員数または従業員数×年間就業時間)で割る算定式により示す必要があります。
対象設備には取得価格や販売開始時期の基準がある
導入する設備は、生産性向上に資するものであり、かつ以下の条件を満たす必要があります。
| 設備種別 | 最低取得価格 | 販売開始からの年数 |
|---|---|---|
| 機械装置 | 160万円以上 | 10年以内 |
| 測定・検査工具 | 30万円以上 | 5年以内 |
| 器具備品 | 30万円以上 | 6年以内 |
| 建物附属設備 | 60万円以上 | 14年以内(償却資産に限る) |
これらの設備が「旧モデルと比べて年平均1%以上の性能向上」が確認できることも必要です。
固定資産税の減免措置が得られる条件と内容
最大3年間の税負担軽減が可能
先端設備等導入計画が認定されると、取得した設備に対する固定資産税が最大3年間、ゼロから1/2に軽減されます。軽減率は自治体の判断により異なりますが、原則として大きな税制優遇を受けることができます。
自治体によって適用の有無が異なる
固定資産税は地方税であるため、この特例措置を採用するかどうかは各自治体の判断に委ねられています。利用を検討している場合は、所在地の自治体がこの制度に対応しているかを確認する必要があります。
融資や信用保証の面でも支援を受けられる
信用保証枠の拡大で資金調達がしやすくなる
認定を受けた計画に基づいて資金調達を行う場合、信用保証協会の保証が通常枠とは別枠で提供されることがあります。
保証枠が拡大することにより、必要な資金を確保しやすくなり、事業推進のスピードが加速する可能性があります。
補助金申請における加点対象となる優遇措置
生産性向上を目的とした補助金に有利
先端設備等導入計画が認定されている事業者は、以下の補助金制度において審査時に加点対象となる場合があります。
ものづくり補助金
生産プロセスの改善や新サービス・試作品の開発などに対して、最大3,000万円が支給されます。認定を受けていると、補助率が1/2から2/3に引き上げられることもあります。
小規模事業者持続化補助金
販路開拓や経営改善の取り組みに対して、最大500万円まで支援されます。商工会・商工会議所と連携した計画が必要です。
サポイン補助金
産学官連携による高度な研究開発や試作品開発に対し、2〜3年にわたって最大9,750万円まで支給されます。
IT導入補助金
業務効率化や売上向上につながるソフトウェア・クラウドサービスの導入に対して最大50万円を支援。なお、IT導入補助金については、導入計画の認定がなくても所在する自治体が対応していれば加点対象となります。
制度活用のための具体的なステップと申請の流れ
申請は比較的シンプルで準備しやすい
申請手続きは複雑ではなく、基本的には「導入計画書(2枚程度)」を作成し、認定支援機関(商工会や商工会議所)で事前確認を受けた上で自治体に提出します。内容が導入促進指針や自治体の基本計画に沿っているかが審査のポイントです。
早期の相談と準備が採択の鍵になる
制度を最大限に活用するためには、早めに導入機関と連携を取り、適切な設備選定と効果的な計画立案を行うことが重要です。また、設備導入後の事業成果が問われることもあるため、現実的で持続可能な計画を立てることが求められます。
設備投資を検討する中小企業にとってのまとめと提案
生産性向上特別措置法の活用により、中小企業は設備導入にかかる負担を大きく軽減できます。固定資産税の減免だけでなく、信用保証や補助金の優遇など、トータルで見たときのメリットは非常に大きいものがあります。
この制度は、一度の計画提出と認定取得によって、複数の支援策が連動して得られるという点で非常に効率的です。自治体や支援機関と連携しながら、制度の恩恵を最大限に活用し、成長のチャンスをつかむことをおすすめします。

