小規模事業者持続化補助金は、販路開拓や業務効率化などに取り組む小規模事業者に対し、その経費の一部を支援する制度です。2023年度からは、インボイス制度に対応する事業者への特例措置が新設され、最大50万円の補助上乗せが可能となりました。
本記事では、補助金制度の概要、申請枠、対象経費、インボイス特例の内容と申請要件まで、申請を検討する方に向けて詳しく解説します。
小規模事業者持続化補助金の基本的な仕組み
補助金制度の目的と役割
小規模事業者持続化補助金は、中小企業庁が実施する「中小企業生産性革命推進事業」のひとつで、販路の開拓や業務の効率化にかかる費用を国が補助する制度です。
個人事業主やフリーランスを含む小規模事業者が、経営計画をもとに自らの成長に向けた取り組みを行うことを支援し、地域経済の活性化にもつながることが期待されています。
補助枠と補助金額の詳細
事業の内容に応じた5つの補助枠
申請には事業の目的や状況に応じた複数の枠が用意されており、それぞれに補助上限額が設定されています。
| 補助枠 | 補助上限額 | 補助率 |
|---|---|---|
| 通常枠 | 50万円 | 2/3 |
| 賃金引上げ枠 | 200万円 | 2/3(赤字企業は3/4) |
| 卒業枠 | 200万円 | 2/3 |
| 後継者支援枠 | 200万円 | 2/3 |
| 創業枠 | 200万円 | 2/3 |
さらに、インボイス制度への対応を行う事業者には、以下の特例が設けられています。
インボイス特例で補助上限がさらに拡大
インボイス制度に対応した事業者への支援強化
2023年10月よりインボイス制度(適格請求書等保存方式)が始まり、免税事業者だった個人事業主や中小企業も新たに「適格請求書発行事業者」への登録が求められるようになりました。
これに伴う経理体制の見直しや、システム対応の負担を軽減するために導入されたのがインボイス特例です。
インボイス特例では、すべての申請枠において補助上限額が50万円上乗せされ、以下のように補助額が拡大します。
| 補助枠 | 通常の上限額 | 特例適用後の上限額 |
|---|---|---|
| 通常枠 | 50万円 | 100万円 |
| 賃金引上げ枠 | 200万円 | 250万円 |
| 卒業枠 | 200万円 | 250万円 |
| 後継者支援枠 | 200万円 | 250万円 |
| 創業枠 | 200万円 | 250万円 |
インボイス特例の対象事業者と適用要件
特例の対象となる事業者の条件
インボイス特例が適用されるには、以下の条件のいずれかに該当する必要があります。
- 2021年9月30日〜2023年9月30日の間に一度でも免税事業者であった、またはその見込みがある事業者
- 2023年10月1日以降に創業し、適格請求書発行事業者の登録を受けた事業者
ただし、補助事業が完了する時点でインボイス発行事業者であることが確認できない場合、特例は適用外となるため、注意が必要です。
インボイス特例を申請するための必要書類と手続き
申請に必要なチェック項目と添付資料
インボイス特例を申請する場合、以下の書類を用意し、指定の様式に従って提出します。
- 経営計画書の「インボイス特例」欄にチェックを入れる
- 経費明細表で「インボイス特例」対象経費を明示
- 「インボイス特例の申請に係る宣誓・同意書(様式9)」を提出
- 下記いずれかの証明書類を添付
- インボイス登録通知書の写し
- 登録申請手続中の場合はe-Taxの「受信通知」コピー
補助対象となる具体的な経費の内容
事業の種類を問わず幅広く活用できる補助内容
持続化補助金では、事業の実施に必要なさまざまな経費が補助対象となります。
- 機械装置等費:業務効率化・生産性向上のための設備導入費用
- 広報費:広告、チラシ、パンフレットなどの制作・配布費
- ウェブサイト関連費:ECサイト構築、SEO対策、インターネット広告など
- 展示会等出展費:展示会の出展料や関連する旅費、輸送費
- 開発費・外注費:新商品の試作開発、専門家への委託相談費用(税理士等を含む)
特に、インボイス制度への対応に必要なソフトウェア導入費や専門家相談料は、補助対象に含まれるため実務負担の軽減に直結します。
今後の申請スケジュールと注意点
常に最新の公募情報を確認しよう
小規模事業者持続化補助金は複数回に分けて公募されており、今後も継続される見込みです。過去の受付回は終了していますが、最新の募集スケジュールや申請要件は、事務局の公式サイトにて随時更新されます。
制度の変更や書類の様式更新が行われる可能性もあるため、申請予定の事業者は事前に情報を確認し、早めの準備を心がけましょう。
経営変革の手段として持続化補助金を活用する意義
インボイス制度への対応をはじめ、物価高や人手不足など、事業環境の変化に直面する小規模事業者にとって、返済不要の補助金は経営改革の強力な後押しとなります。
特に、販路開拓やIT活用など将来の収益につながる投資に対して資金を活用できる点は、事業の安定と成長に直結します。持続化補助金を通じて、自社の強みを再発見し、競争力を高めていくことが求められています。
まとめ
小規模事業者持続化補助金は、事業者の自立と発展を支援する制度として継続されています。インボイス特例の導入により、今まで以上に多くの事業者が対象となり、補助額も拡大しました。
新制度への対応や販路の見直しを検討している事業者にとって、この補助金は大きなチャンスです。制度を正しく理解し、戦略的に活用することで、経営の安定化と将来の成長へとつなげていきましょう。

