中小企業省力化投資補助金「一般型」は、自社の業務や現場環境に応じた柔軟な設備導入が可能な支援制度です。従来の「カタログ注文型」では対応しきれなかったニーズにも応える仕組みで、補助上限額も拡大され、中小企業による積極的な省力化投資を後押しします。
本記事では、制度の概要、申請要件、補助対象経費、他の補助金との違いなどを詳しく解説します。
中小企業省力化投資補助金の目的と仕組み
この補助金制度は、中小企業の人手不足解消と生産性向上を目的に設けられています。ロボット、IoT、AIなどのデジタル技術を活用し、業務を効率化するための設備投資を支援します。
2つの申請方式
補助金の申請には以下の2つの方式があります。
- カタログ注文型
事前に登録された製品カタログから選び、導入する方式。手続きが簡単で導入がスピーディーに進みます。 - 一般型
事業者の個別ニーズに応じた設備やシステムを導入できる方式。オーダーメイド機器の導入や複数設備の組み合わせも可能です。
一般型の特徴と導入メリット
多様な業種・業務に対応可能
「一般型」は、事業ごとに異なる現場環境や業務内容に合わせて、省力化設備の選定・導入が行える点が大きな特徴です。以下のようなメリットがあります。
- カタログ掲載外の機器も対象にできる
- オーダーメイド設備の導入が可能
- 複数の汎用機器を組み合わせて申請可能
- 業務の自動化・高度化、DX推進にも対応
補助上限額と補助率
事業規模に応じた補助上限額が設定されており、条件を満たせば特例によってさらに上限が引き上げられます。
| 従業員数 | 通常の上限額 | 特例適用後の上限額 |
|---|---|---|
| 5人以下 | 750万円 | 1,000万円 |
| 6〜20人 | 1,500万円 | 2,000万円 |
| 21〜50人 | 3,000万円 | 4,000万円 |
| 51〜100人 | 5,000万円 | 6,500万円 |
| 101人以上 | 8,000万円 | 1億円 |
補助率は以下の通りです。
- 中小企業:1/2
- 小規模・再生事業者:2/3
- 1,500万円超の部分:1/3
- 条件を満たす場合は補助率の引き上げもあり
一般型の補助対象経費と注意点
補助対象となる主な経費
- 機械装置・システム構築費(必須)
- 技術導入費
- 専門家経費
- 運搬費
- クラウドサービス利用費
- 外注費
- 知的財産権関連経費
カタログ掲載製品との関係
原則として、カタログに掲載された製品は「カタログ注文型」で申請します。ただし、以下のような場合には「一般型」での申請が可能です。
- 周辺機器との組み合わせによりカスタマイズが必要な場合
- 複数の汎用設備を組み合わせて省力化効果を高める場合
- 搭載機能や構成機器の数を変える必要がある場合
申請要件と補助金返還のリスク
申請に必要な事業計画と要件
申請には、以下の要件をすべて満たす3〜5年の事業計画の策定が求められます。
- 労働生産性の年平均成長率が+4.0%以上
- 給与支給総額が所定の成長率以上、または+2.0%以上
- 事業所内最低賃金が最低賃金+30円以上
- 従業員21人以上の事業者は、一般事業主行動計画の公表が必要
要件未達成時の返還義務
基本要件を満たせなかった場合、補助金の一部または全額の返還が求められることがあります。以下のような場合には免除されます。
- 付加価値額が増加していない
- 計画期間中または該当年度が営業赤字
- 天災などの不可抗力による影響がある場合
事業計画の策定ポイントと審査で重視される要素
以下の点を明確にした事業計画が、審査通過のカギとなります。
- 導入による業務量削減(省力化効果)の定量的説明
- 設備投資前後での付加価値額の変化
- 投資回収見込みとその根拠資料
- 人手不足改善に直結する仕組みの導入内容
申請の流れと実施期間の管理
申請から補助金交付までのステップ
- GビズIDプライムアカウントの取得
- 事業計画の策定と対象設備の選定
- 電子申請システムによる応募
- 採択後、見積取得と発注先の選定
- 補助金交付申請の実施
補助事業の実施期間
- 交付決定日から18か月以内
- または採択発表日から20か月以内のいずれか早い方
この期間内に、発注・納品・支払い・報告まで全てを完了する必要があります。
他補助金との違いを比較して理解する
| 補助金名 | 主な特徴 | 活用シーン |
|---|---|---|
| 一般型(本制度) | 自社仕様の設備導入が可能 | 業務改善、省力化、DX対応 |
| カタログ注文型 | 汎用設備の迅速な導入 | 標準化された業務効率化 |
| ものづくり補助金 | 新製品や技術開発を支援 | 革新的な製品・サービスの開発 |
まとめ:柔軟な設備投資を実現する「一般型」の活用を検討しよう
中小企業省力化投資補助金「一般型」は、業種や業務ごとに異なる課題に柔軟に対応できる補助制度です。補助上限額の高さや多様な経費対象により、自社の状況に即した設備投資を実現できます。
申請には準備期間が必要なため、事前の情報収集と計画策定が重要です。他制度と比較しながら、自社に最も適した補助金の活用を検討しましょう。

