ウクライナ情勢の長期化により、企業の輸出入活動や調達コストに大きな影響が生じています。特に中小企業では、資材価格の高騰や供給網の断絶により、経営の見直しや資金繰りの再検討が必要となっています。こうした状況を受けて、政府や関係機関では、影響を受けた事業者に向けた多様な支援策を講じています。
本記事では、ウクライナ情勢に起因する経済的ダメージへの対応として、活用可能な6つの主要支援制度を紹介します。
ウクライナ情勢が企業の調達や経営に与える影響
ロシアによるウクライナ侵攻以降、世界的にエネルギー資源や原材料の価格が高騰し、物流の停滞も加わっています。これにより、原材料費の上昇や納期の遅れといった問題が広範囲に発生し、企業活動全体に深刻な影響を及ぼしています。
とくに建設業や製造業、加工業など、海外からの資材調達に依存する業種では、経営計画の見直しを迫られるケースが増加しています。さらに、原油価格の変動や為替レートの不安定さも相まって、長期的な事業戦略の策定が困難になっている企業も少なくありません。
中小企業向けの輸出入支援制度とその活用方法
政府はウクライナ情勢の影響を受ける企業に対し、資金繰りの支援や事業転換の後押しとなる補助金制度を整備しています。ここでは6つの主な支援制度について、それぞれの概要と申請条件を詳しく解説します。
新分野展開を支援する事業再構築補助金
経済的打撃を受けた事業者が新しい分野への進出や事業構造の転換に取り組むための支援制度です。原油高や材料価格の高騰、新型感染症による影響など、複合的な経済変動を受けた企業が対象となります。
申請に必要な条件と補助額の詳細
- 売上が一定期間内で10%以上減少していること
- 支援機関と連携して事業計画を策定していること
- 補助終了後の付加価値額の増加見込みがあること
補助額は最大4,000万円、補助率は中小企業で最大3/4です。以前の締切は2024年9月30日でしたが、今後も追加公募が実施される可能性がありますので、最新情報の確認が重要です。
資金繰りを改善するセーフティネット貸付
ウクライナ情勢を含む社会的な要因により、資金繰りが悪化した企業に対しては、日本政策金融公庫などが特別貸付を実施しています。原油高や調達コストの上昇、売上の急減といった状況に柔軟に対応できる制度です。
融資条件と利率の優遇内容
売上高の減少や利益率の悪化、取引条件の悪化などが認められれば、通常よりも低い利率での貸付が可能です。例えば、売上が5%以上減少している企業は、基準利率から最大0.4%の利下げを受けられます。
この制度は通年で申請が可能で、地域の商工会議所や公庫にて相談を受け付けています。
木材調達の見直しを支援する国産材転換支援事業
輸入木材の供給が不安定になったことで、国内木材へのシフトが進められています。この支援制度は、国産材への切り替えに伴う輸送費や保管費、設計変更に必要な費用を補助するものです。
補助対象と申請要件のポイント
- 民間事業者であること
- 経理体制が整備されていること
- 他の国からの同様の助成を受けていないこと
補助率は1/2または定額で、締切は支援内容によって異なります。2024年の最終締切は9月20日でしたが、制度自体は今後も継続される見通しです。
水産加工業の原材料調達を支える支援事業
水産業界でも、ウクライナ情勢により輸入依存度の高い原材料の確保が困難になっています。本支援制度では、原材料調達方法の見直しや販路維持の取り組み、加工機器の導入などが支援対象になります。
補助金の詳細と対象水産物
対象となる水産物は、魚類、えび、かに、貝、いか、うに、魚卵、海藻など多岐にわたります。補助金は最大5,500万円、補助率は中小企業で2/3以内、中堅企業で1/2以内とされています。
2024年の第1回締切は6月30日で終了していますが、引き続き公募が行われる可能性があるため、最新情報のチェックが必要です。
小規模事業者の販路開拓を支援する持続化補助金
小規模事業者が販路開拓や新商品の導入に取り組む際に利用できる補助金制度です。ウクライナ情勢など、社会的影響を受けた事業者には審査時に加点措置があります。
補助対象となる事業内容と申請制限
- 補助額は最大200万円、補助率は2/3
- 過去10か月以内に特定の補助金採択を受けていないこと
- 小規模事業者であること(大企業に完全に支配されていない)
2024年の第9回締切は9月20日でした。今後も継続して募集される見込みです。
海外展開を目指す企業へのJAPANブランド支援事業
海外市場をターゲットにした商品開発やブランディングに取り組む事業者に対し、経費の一部を補助する制度です。新たな市場への進出を計画する中小企業には有効な支援となります。
海外販路開拓に向けた計画と支援内容
- 海外展開を目的とした事業計画の策定が必要
- 中小機構など支援パートナーのサポートを受けることが条件
補助額は最大500万円で、補助率は2/3以内。2024年の締切は8月1日でしたが、今後も継続的に公募が実施される見込みです。
まとめ:変化の時代を乗り越えるために公的支援を活用しよう
企業にとって、社会情勢の影響は自社だけではどうにもならない問題です。工夫を重ねて乗り切るしかありません。とはいえ、資金的な課題への対処には限界があります。
そんなときは各種補助金や支援制度を活用しましょう。今回紹介した補助金や支援は、社会的な問題を乗り越え、将来を見据えての成長を目指す企業に申請してほしい事業です。積極的に情報を収集し、自社の状況に合った制度を上手に活用していくことが、持続的な発展への第一歩となります。

