中小企業が経営の安定や成長を図る上で、設備投資は欠かせません。しかし、資金確保が課題となる場面も少なくありません。こうした課題を解決するために、国や自治体はさまざまな補助金・助成金制度を設けています。
本記事では、中小企業の設備投資に役立つ主要な補助金・助成金制度を5つ紹介します。各制度の概要、対象要件、助成内容、申請の流れなどを把握し、自社の成長戦略に合った制度の活用を検討してみましょう。
業務改善助成金で生産性向上と賃上げを両立
業務改善助成金は、生産性の向上を通じて従業員の最低賃金を引き上げる中小企業を支援する制度です。厚生労働省が実施しており、設備導入や研修の費用が補助対象になります。
通常コースの助成内容と要件
通常コースでは、事業場内の最低賃金と地域別最低賃金との差が30円以内で、従業員が100人以下の中小企業が対象です。最低賃金を一定額引き上げ、生産性向上に資する設備や研修などを行った場合、その費用の一部が補助されます。
主な対象経費
- 機械装置等の購入費
- 教育訓練費やコンサルティング費用
- 業務効率化に必要なITツール導入費用 など
助成率と上限額(例)
- 最低賃金900円未満の場合:助成率最大9/10
- 最低賃金900円以上の場合:最大4/5
- 引き上げ人数に応じて30〜600万円までの助成上限あり
※制度内容は年度ごとに見直されており、最新の公募情報は厚労省の公式サイトなどで確認が必要です。
特例コースではコロナ禍の影響にも対応
過去には、新型コロナウイルスによる売上減少を要件とした特例コースも設けられていました。対象期間は終了していますが、経済状況に応じて今後も同様の特例措置が実施される可能性があります。
働き方改革を後押しする勤務間インターバル導入助成金
働き方改革推進支援助成金の一つである「勤務間インターバル導入コース」は、従業員の休息時間を確保する制度を導入した中小企業に対し、設備投資や研修の費用を補助する制度です。
制度の目的と企業へのメリット
この制度は、長時間労働の是正と従業員の健康維持を目的とし、仕事と生活のバランス向上に貢献します。制度導入により、企業のイメージ向上や人材定着にもつながるため、中長期的な経営戦略としても効果が期待できます。
助成内容と補助対象の詳細
- 助成率:3/4
- 上限額:最大100万円(成果目標達成度により変動)
- 新規導入やインターバル時間の延長などが対象
- 賃金引上げと組み合わせた場合、最大240万円の加算あり
ものづくり補助金で革新的な設備投資を実現
ものづくり・商業・サービス補助金は、経営革新や事業再構築に向けた設備投資を支援する制度です。中小企業の生産性向上を目的とし、一般型とグローバル展開型の2つの枠があります。
一般型の枠組みと補助内容
一般型では、「通常枠」「回復型賃上げ・雇用拡大枠」「デジタル枠」「グリーン枠」などが用意されており、自社の課題に応じた選択が可能です。
補助率と上限額
- 通常枠:補助率1/2、小規模事業者等は最大2/3
- デジタル・グリーン枠など:補助率2/3、最大2000万円
対象経費の例
- 高度な生産設備の導入費
- ITシステム構築費
- クラウド利用料、運搬費、外注費 など
グローバル展開型で海外事業もサポート
海外進出を目指す企業には、グローバル展開型が適しています。補助金額は最大3000万円と高額で、海外投資や市場開拓を含む取組が支援されます。
※これまでの公募は年に数回実施されており、令和4年度の申請期間は終了済みです。新年度の実施スケジュールは公式サイトでの確認が推奨されます。
小規模事業者持続化補助金で販路開拓を後押し
小規模事業者持続化補助金は、経営計画に基づいた販路開拓や業務効率化に対して補助を行う制度で、特に個人事業主や小規模法人に適しています。
通常枠と特別枠の違いを理解する
- 通常枠:上限50万円、補助率2/3
- 特別枠:インボイス枠や創業枠などがあり、上限最大200万円(インボイス枠は100万円)
対象経費の範囲
- 機械装置等費、ウェブサイト関連費
- 広報費、展示会出展費、外注費
- 資料購入費や設備処分費など
申請には、商工会議所・商工会の支援計画書が必要で、事前準備が重要です。受付は通年で複数回行われており、年度ごとの詳細日程を確認しておくとスムーズに申請できます。
事業承継やM&Aに活用できる経営革新補助金
事業承継・引継ぎ補助金は、事業の後継やM&A後の経営改善を支援する制度です。設備導入や販路拡大などの支出に対して、費用の一部が補助されます。
3つの支援型で幅広く対応
- 創業支援型(Ⅰ型):事業譲渡を受けて新たに創業したケース
- 経営者交代型(Ⅱ型):親族・従業員による事業承継
- M&A型(Ⅲ型):他社との事業統合や買収による継承
補助率と対象経費
- 補助率:2/3(400〜600万円の部分は1/2)
- 上限額:最大600万円(廃業支援費の加算あり)
- 対象経費:設備費、広報費、外注費、調査費、解体費など
過去には令和4年度補正予算として実施され、現在は受付終了済みです。今後の公募に備え、事業承継の準備を進めておくと良いでしょう。
補助金申請を成功させるためのポイント
制度選定は事業戦略と連動させる
自社の課題や目標に対して最もマッチする制度を選ぶことが、申請成功への第一歩です。単なる資金調達ではなく、中長期的な経営改善に活かす視点が重要です。
専門家の支援でスムーズに進める
補助金の申請には、事業計画や財務資料、見積書の作成が必要になります。商工会議所や行政書士、中小企業診断士などの支援を活用すると、申請の精度と通過率が高まります。
まとめ
中小企業の設備投資を支える補助金や助成金制度は、経営改善や拡大に向けた強力な手段です。
制度ごとの特徴や条件を正しく理解し、将来的な事業展望に沿って活用していくことで、より効果的な資金活用が可能になります。申請の準備には時間がかかるため、最新情報の確認と早めの行動が成功のカギとなります。

