小規模事業者持続化補助金の申請では、多くの書類の準備が求められます。補助金の採択率が年々低下する中、書類の不備をなくし、審査で評価される内容を盛り込むことが重要です。
本記事では、申請に必要な書類の一覧と、計画書の書き方や加点対策、電子申請の流れについて整理し、申請を成功に導くためのポイントを解説します。
小規模事業者持続化補助金の概要と申請枠の種類
小規模事業者持続化補助金は、販路開拓や業務効率化を目的とする小規模事業者の取り組みに対し、費用の一部を支援する国の制度です。申請者自身が経営計画を立て、それに基づいた事業活動に対して補助金が交付されます。
補助の対象となる枠には「通常枠」「賃金引上げ枠」「創業枠」などがあり、内容によって上限額や必要書類が異なります。インボイス対応などに伴う特例も設けられており、条件に合えばさらに上乗せの補助を受けることができます。
申請に必要な書類を正確に準備することが採択の第一歩
補助金の申請では、書類の不備が理由で不採択となるケースが少なくありません。まずは、全申請者に共通する基本的な書類から確認しておきましょう。
必須提出書類を網羅して抜け漏れを防ぐ
申請時に提出が必要な主な書類は以下のとおりです。
- 経営計画書兼補助事業計画書①
- 補助事業計画書②
- 補助金交付申請書
- 宣誓・同意書
- 決算書類(貸借対照表および損益計算書)
- 確定申告書(または開業届の写し)
- 株主名簿(必要な場合)
- 現在事項全部証明書または履歴事項全部証明書
- 商工会または商工会議所が発行する事業支援計画書
これらの書類はすべて電子申請システムから提出可能です。商工会・商工会議所による支援が必要なものは、申請締切の1週間前までに手続きを行ってください。
補助金の加点項目を活用して採択率を高める
加点制度を活用することで、審査における評価が高まり、採択の可能性が上がります。制度の趣旨に合致した加点項目を選び、必要な手続きをしっかりと行いましょう。
重点政策に該当する場合は自動的に加点されることもある
以下の重点政策加点には、一定の条件を満たせば自動適用となる場合があります。
- 赤字賃上げ加点
- 事業環境変化加点(物価高や燃料費高騰の影響など)
- 東日本大震災加点
- くるみん認定・えるぼし認定加点
それぞれの加点には該当を証明する書類が求められます。証明書や通知書の写しなど、確実に準備しておきましょう。
政策加点では地域資源の活用や経営力向上が評価される
政策加点は、自社の事業内容が地域資源の活用や人材育成に貢献しているかどうかが評価の基準となります。
代表的な政策加点には以下のようなものがあります。
- 賃上げの取り組み
- 地域資源の活用または地域コミュニティとの連携
- 経営力向上計画の認定
- 事業承継の推進
- 一般事業主行動計画の公表(女性活躍・両立支援)
加点の種類によっては、専用の申請フォームや証明書が必要になるため、事前にガイドラインをよく読み、期限内に手続きを終えることが重要です。
経営計画書の書き方で差がつくポイント
補助金の審査は書類ベースで行われるため、経営計画書と補助事業計画書の内容が非常に重要です。ここでは、採択されるために押さえるべき記載ポイントを紹介します。
経営計画書には自社の強みと課題を明確に示す
審査では「自社の現状分析の妥当性」「将来計画の具体性」「補助事業の有効性」などが評価されます。次のような要素を意識して記載しましょう。
- 企業概要:沿革、事業内容、従業員数など
- 経営課題:現状の売上や利益構造の分析、課題の背景
- 顧客ニーズと市場動向:客観的データを用いた需要の把握
- 自社の強みと競合との差別化:独自の技術やサービス、顧客評価など
- 経営方針と今後の目標:定量的・定性的な目標を示す
- 年次別の具体的行動計画:補助事業を踏まえた5年間の戦略
特に「経営課題」と「補助事業計画」の一貫性を意識して構成すると、説得力が増します。
補助事業計画書は実現可能性と効果の裏付けが鍵になる
補助事業計画書では、どのように販路開拓を行い、経営の改善につなげるのかを明確に伝える必要があります。
計画の流れと具体的な実施内容を丁寧に記載する
計画書には、次のような内容を盛り込みましょう。
- 補助事業の名称:簡潔で内容が想像しやすい名前にする
- 販路開拓の目的と方法:具体的な施策(例:ネットショップ構築、広告の展開)
- 実施スケジュール:ガントチャートや表で期間を示すと効果的
- 費用の積算根拠:見積書や過去の実績に基づく明確な数値
- ITやDXの活用:業務効率化、販売促進、顧客対応などの工夫
- 事業による波及効果:売上の増加、雇用の創出、地域経済への貢献など
申請書全体を通して、審査員が読みやすく、内容の筋道が通っているかが重要です。
書類作成で意識すべき4つの実践ポイント
わかりやすく、伝わる申請書を作るためには次の点に注意しましょう。
箇条書きを活用しながら視覚的に整理する
複雑な説明は文章が長くなりがちです。要点は箇条書きで整理し、読み手が視覚的に理解しやすくなるように工夫しましょう。
全体の一貫性を保ち内容に矛盾がないようにする
経営計画書と補助事業計画書の間に矛盾があると、計画の信頼性が下がります。内容を見直し、ストーリーとしてつながっているかを確認しましょう。
客観的なデータで根拠を補強する
説得力のある計画にするには、売上推移、市場調査、アンケート結果などのエビデンスが不可欠です。可能な限り第三者のデータを引用しましょう。
商工会のアドバイスを活用する
伴走支援を行う商工会や商工会議所の担当者は、計画書の作成に関する経験が豊富です。積極的にアドバイスを受けることで、計画の質を高められます。
電子申請の手順と注意点を確認する
電子申請は、利便性だけでなく加点面でも有利です。郵送による提出は減点対象になるため、特別な事情がない限り電子申請を選びましょう。
電子申請の流れと準備すべきこと
- GビズIDの取得(取得までに2~3週間かかることも)
- 電子申請システムへの登録
- 商工会・商工会議所への支援依頼
- 事業支援計画書の受け取り
- 必要書類のアップロードと提出
補助金の採択通知や交付決定通知は、マイページ上で確認できます。提出前には再度チェックリストを使い、記入漏れや添付漏れがないか確認しましょう。
採択率を高めるために早めの準備がカギになる
直近の採択率は40%台と、以前に比べて大幅に低下しています。採択されるには、書類の充実だけでなく、加点を意識した戦略的な準備が求められます。
採択の可能性を高めるために意識すべきポイント
- 書類の完成度を高めるために時間に余裕を持つ
- 自社が対象となる加点項目を見逃さず申請する
- 経営課題と補助事業の関連性を明確にする
- 専門家や支援機関の意見を積極的に取り入れる
まとめ
小規模事業者持続化補助金の申請は、計画性と丁寧な書類作成が鍵です。採択を目指すには、制度の仕組みを理解し、必要書類の準備と計画書の質を高めることが不可欠です。
加点項目を積極的に活用し、商工会などの支援も受けながら、早めに準備を進めましょう。丁寧に作り上げた申請書は、事業の未来を切り拓く第一歩となります。

