高齢化が進む日本において、中小企業の経営者の年齢上昇や後継者不足が大きな課題となっています。こうした中、事業承継の機会を促進し、若手後継者の挑戦を後押しする取り組みとして注目されているのが「アトツギ甲子園」です。
本記事では、アトツギ甲子園の概要や魅力、参加のメリット、応募方法などを詳しく解説し、事業承継における新たな選択肢としての可能性を探ります。
中小企業の経営者高齢化と後継者不足
経営者の年齢上昇と企業への影響
近年、国内企業において経営者の高齢化が進んでおり、1995年時点で最も多かった経営者年齢は47歳でしたが、2018年には69歳にまで上昇しています。この傾向により、今後は高齢を理由に引退を選ぶ経営者が増加することが予想されます。
中小企業は日本の企業全体の約99%を占めており、地域経済や雇用の維持に欠かせない存在です。そのため、経営者の高齢化と後継者不足は、企業単体だけでなく、地域社会や国全体の経済にまで影響を及ぼす深刻な問題です。
事業承継が進まない現状と課題
後継者不足は中小企業の休廃業や解散の主要な理由の一つであり、実際に事業承継がうまく進んでいない企業では、業績の伸び悩みや廃業リスクが高まる傾向があります。一方で、スムーズに事業承継を実現した企業は、長期的に見て成長率が高いという調査結果もあります。
特に若い後継者が事業を引き継ぐ場合、将来を見据えた経営が可能になり、企業の革新や市場拡大につながりやすいとされています。
アトツギ甲子園とは何か?
若手後継者による新規事業提案の場
アトツギ甲子園は、中小企業庁が主催する後継者育成を目的とした全国規模のコンテストです。中小企業の後継者が、既存の経営資源を活用しながら、自らのアイデアによる新規事業プランを発表し、専門家による審査を受けます。
このイベントは、単なるコンテストではなく、事業承継後のビジョン構築や経営者としてのスキル向上を目的としており、参加者にとっては実践的な学びと成長の機会になります。
主な審査基準
審査では以下の5つの観点が評価されます。
- 新規性
- 実現可能性
- 収益性
- 経営資源の活用
- 熱意とストーリー性
これらをもとに、有識者による審査が行われ、最優秀賞や優秀賞が選出されます。
参加資格と応募方法
エントリー対象者
アトツギ甲子園に参加できるのは、39歳以下の中小企業後継者です。代表権を持つ方も参加可能で、まだ事業承継を完了していない方も挑戦できます。
応募の流れ
応募は特設ウェブサイトから行い、以下の手順で進めます。
- エントリーフォームに入力し送信
- 事務局から届く応募書類を記入
- 書類を送信してエントリー完了
一次審査を通過すると地方予選大会に出場でき、さらに決勝大会への進出も目指せます。
参加のメリットと特典
実践的な学びとメディア露出
決勝大会出場者には、プレゼンテーション機会やメンタリングなどの支援が提供されます。さらに、優秀なプランはメディアで取り上げられることもあり、企業の認知度向上にもつながります。
コミュニティ形成とネットワーク
エントリー者は、中小企業庁が運営する「後継者ネットワーク」に任意で参加可能です。このネットワークでは、同世代の後継者や支援者とのつながりを構築でき、地域を越えた交流が可能になります。
アトツギ甲子園はどんな人に適しているか
この取り組みは以下のような方に特におすすめです。
- 事業承継を検討している若手経営者
- 新しい事業に挑戦したいと考えている後継者
- 同世代の経営者と交流したい方
- 自社や商品を全国に発信したい方
成長意欲のある後継者にとって、自身の可能性を広げる絶好の機会となるでしょう。
まとめ
中小企業における事業承継は、日本経済の持続的発展に不可欠なテーマです。アトツギ甲子園は、後継者が経営者としての視点を磨き、新たな価値を創出するための実践の場として注目されています。
事業承継を単なる世代交代に終わらせず、次世代が新たな成長の軌道に乗るための第一歩として、「アトツギ甲子園」への参加を検討する価値は十分にあります。将来の経営を担う準備を進める一つのきっかけとして、有効に活用していきましょう。

