【月次支援金】併給できない協力金・支援金の確認ポイント

新型コロナウイルスによる影響緩和策として設けられた「月次支援金」は、事業の継続と立て直しを目的に支給される制度です。ただし、他の協力金や支援金と併給できない場合もあり、申請前に支援制度の内容をよく確認することが重要です。

本記事では、月次支援金と併給できないケースや、支給対象の重複に注意すべきポイントについて詳しく解説します。

月次支援金とは?申請対象者と基本要件を押さえよう

【基本】月次支援金の給付条件

月次支援金は、緊急事態措置やまん延防止等重点措置による売上減少を支援する国の給付制度です。申請には、次の2つの条件を満たす必要があります。

  • 緊急事態措置やまん延防止等重点措置による飲食店の休業・時短営業、または外出自粛等の影響を受けたこと
  • 2021年4月以降の各月の売上が、2019年または2020年の同月比で50%以上減少していること

これらの条件を満たしていれば、業種や所在地を問わず幅広い事業者が対象となります。

月次支援金の対象となる事業者の例

対象となる事業者は、影響を受けた地域に限らず全国に広がっています。具体例は次のとおりです。

  • 飲食料品の小売店、衣料品店、美容室、マッサージサロンなどの小規模店舗
  • 学習塾、スポーツ教室、カルチャースクールといった教育関連事業者
  • 病院、福祉施設、ドラッグストア、薬局などの医療福祉関連
  • 旅館、ホテル、旅行代理店、レンタカー事業などの観光業者
  • 士業、経営コンサルタント、システム開発業者、デザイン制作会社などのサービス業者
  • 飲食料品の卸売業者、農業、漁業事業者

これら事業者と直接取引があるサプライヤーや関連業者も対象になる可能性があり、支援の幅が広いのが特徴です。

【注意】月次支援金の対象外となる事業者とは?

協力金支給対象の飲食店は月次支援金の対象外

月次支援金は、緊急事態措置やまん延防止等重点措置による休業・時短営業に直接応じた事業者、特に感染拡大防止協力金を受け取った飲食店などは対象外となります。

この考え方は、月次支援金が主に取引先や間接的に影響を受けた事業者を支援する趣旨であることに基づいています。

なお、この協力金は、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用して各自治体が支給しているものです。

そのため、対象となった飲食店や大規模施設事業者は、別途月次支援金の申請対象外となるため注意が必要です。

地方公共団体独自の協力金対象者も対象外に

地方公共団体が支給する独自の協力金についても、対象となった場合は月次支援金との併給ができません。

例えば、商業施設のテナント向け協力金などが該当します。経済産業省が公表している一覧資料(※)を参考に、対象かどうか事前に確認しておきましょう。

※「緊急事態措置又はまん延防止等重点措置の影響緩和に係る月次支援金の詳細について」より

月次支援金と自治体支援金の併給条件を詳しく解説

併給できない基本ルールとは?

月次支援金と自治体独自支援金の併給ができない基本的なルールは、「対象期間が重複しているかどうか」です。

支給対象となる期間が重なる場合は、どちらか一方を選択して申請する必要があります。支援額を比較し、より有利な方を選ぶことが重要です。

【例】併給できないケースとできるケース

以下に、実際に起こりうる具体的なパターンを紹介します。

併給できないケース

たとえば、緊急事態措置による休業協力に応じた2021年4月25日~5月11日分について、月次支援金(4月・5月分)を申請した場合は、同期間にかかる自治体支援金の申請はできません。

この場合、支給額は以下のように比較できます。

  • 都の休業協力依頼支援金(4/25~5/11):1店舗あたり34万円
  • 月次支援金(国)+自治体の上乗せ分(「その他業種」法人50%減少時):最大25万円(1カ月あたり)

支給額を検討し、どちらが有利かを冷静に判断することが求められます。

併給できるケース

一方で、2021年5月1日~5月31日の休業について、4月分の月次支援金を申請し、5月分の自治体支援金を申請する場合は、対象月が異なるため併給が可能です。

ただし、5月分の月次支援金を受給すると5月の自治体支援金は受け取れないため、対象期間が重ならないか細かく確認する必要があります。

月次支援金申請前にチェックしたい3つのポイント

1. 支援金対象期間を必ず確認する

併給可能かを判断するためには、各支援金の対象期間を正確に把握することが何より重要です。申請要項や募集要項を細かく読み込みましょう。

2. 申請可能な支援金をリストアップする

月次支援金だけでなく、自治体の独自支援金や補助金も対象となる場合があります。どの支援金に申請できるか、漏れなくリストアップしておきましょう。

3. 支給額と条件を比較して最適な選択をする

支援金ごとに支給額や対象条件が異なるため、単純な金額比較だけでなく、自社の状況にあった支援策を選ぶことが大切です。

まとめ

月次支援金は、事業の継続支援として非常に有効な制度ですが、他の協力金や支援金との併給制限があるため、安易な申請は避けるべきです。

対象期間や支給額、申請条件を細かく比較し、自社にとって最も有利な支援策を選択しましょう。

なお、2021年当時の緊急事態措置やまん延防止等重点措置はすでに終了していますが、同様の支援制度は将来発生する可能性もあります。今後の備えとしても、支援金制度の基本ルールを押さえておくことをおすすめします。