デジタル技術を活用した新規事業や業態転換を目指す中小企業にとって、行政による補助制度の活用は大きな支援となります。
本記事では、国の補助金対象外となる事業者を支援する目的で設けられた「経営革新デジタル活用支援事業」について、対象要件・補助内容・申請方法を中心に詳しく解説します。
デジタル活用で経営革新を後押しする支援制度
国の補助金に該当しない事業者に向けた補完的支援
経営革新デジタル活用支援事業は、事業再構築に挑む中小企業を対象に、地域レベルで行われている補助金制度です。特に、国の「事業再構築補助金」の要件に満たない場合でも申請可能な点が特徴です。
新型コロナウイルス感染症や物価高騰といった社会的影響を受けた企業が、経営改革を図る際の資金面の不安を軽減することを目的としています。
経営革新デジタル活用支援事業の対象要件
補助金を申請できる企業の条件
補助対象となるのは、法律で定義された中小企業等であり、以下のすべての要件を満たす必要があります。
- 登記簿上の本店または主たる事業所を県内に持つこと(個人事業主は住民票と事務所)
- 経営革新計画の承認を受けている、もしくは承認される見込みであること
- デジタル技術を活用した新たな商品・サービスの開発、業務効率化、販路拡大等を計画していること
- 売上または付加価値額の減少(10〜15%以上)が確認できること
- 補助金申請時点で事業を継続しており、今後も県内での経営を継続する意思があること
売上や付加価値額の減少とはどういう状態か
補助対象となるには、売上高または付加価値額の一定以上の減少が必要です。具体的には、コロナ禍や物価高騰などの影響を受けた時期の任意3ヶ月を、コロナ以前または物価高騰前の同じく任意の3ヶ月と比較し、売上高が10%以上、または付加価値額が15%以上減少していることが条件です。比較対象の月は連続していなくても問題ありません。
デジタル活用型の事業内容が補助対象に
対象となる取り組みと認められないケース
補助金の対象となるのは、承認を受けた経営革新計画に基づく、デジタル技術を活用した具体的な事業です。たとえば、業務効率を上げるためのシステム導入や、オンライン販売のためのECサイト構築、デジタルツールを活用した商品・サービスの開発などが該当します。
一方で、単に会計ソフトを導入する、ホームページで自社紹介をする、といった情報発信レベルの取り組みは対象外となります。補助金は、あくまで「経営革新」に資する取り組みに限定されるため、内容の精査が必要です。
経費の範囲と補助額の詳細
補助対象となる経費の種類
本補助金で認められる経費は多岐にわたります。主なものは以下の通りです。
- 建物費(工事や施設改修)
- 機械装置・システム構築費(リース料を含む)
- 専門家のコンサルティング費用
- 外注費やクラウドサービス利用費
- 知的財産権の取得に関する費用
- 広告宣伝・販売促進費
- 研修費
補助対象となるのは、8月末までに支払いが完了し、領収書など証拠書類の提出ができる経費です。すでに支払済みのものや、消費税相当分は補助対象外となるため、支出のタイミングにも注意が必要です。
補助率と金額の上限
- 補助率:補助対象経費の2分の1以内
- 補助金額:50万円~150万円
※100万円以上の支出がないと申請できません。
申請から補助金交付までの流れ
申請スケジュールと過去の受付期間
この事業は、年度ごとに公募期間と実施期間が設定されており、過去の例では、申請受付は2月から3月中旬まで、事業の実施は8月末までとされていました。現在は公募期間を終了しているものの、同様の制度が今後も継続される可能性があるため、最新の募集情報をチェックしておくとよいでしょう。
申請方法と必要な書類
申請は以下の方法で行います。
- 電子メール送信
- 郵送
- 商工会・商工会議所への持参
提出書類には、申請書のほか、確定申告書や納税証明書、事業計画書、経費の見積書など多くの書類が必要です。不備がある場合は再提出を求められ、それに応じないと辞退扱いとなるため、事前にしっかりと準備しておくことが重要です。
経営革新計画と補助金の連動性に注意
デジタル技術の活用が計画に盛り込まれているか確認
申請の前提となる経営革新計画には、補助対象となる事業の内容が明確に記載されている必要があります。特にデジタル技術の活用が明示されていないと、対象外とされる可能性があります。そのため、事業計画書には該当箇所を明確に示すなどの工夫が必要です。
補助金活用の可能性を広げるために
本制度は、国の補助金の要件に該当しない中小企業にとって、貴重な支援の機会となり得ます。近年は、デジタル技術の導入が競争力向上の鍵となっており、補助金を活用していかに自社の強みを伸ばせるかが問われる時代です。
経営革新に踏み出す際の資金的なハードルを下げる選択肢として、この制度を前向きに検討してみる価値は十分にあります。公募開始のタイミングに合わせて、早めに準備を進めておくことが成功のカギです。
※本記事に記載された公募期間・事業期間は過去のものであり、次回募集の有無や内容については公式発表をご確認ください。

