コロナ禍で売上が減少した飲食店向けに、事業継続や需要喚起を目的とした「外食産業向け業態転換等支援事業」の2次公募が行われました。本制度では、感染症対策を講じながら売上拡大を目指す業態転換に対して、最大1000万円の補助金が支給されます。
対象となるのは、中小・中堅規模の飲食店で、特に自動販売機導入やECサイト活用など新たな販売方法に取り組む場合に有効です。応募には共同事業者との連携が必須であり、指定の要件を満たした飲食店が対象となります。
外食産業向け業態転換支援事業の概要
コロナ禍で打撃を受けた飲食店の再起をサポート
「外食産業向け業態転換等支援事業」は、コロナ禍の影響で経営が悪化した飲食店の事業継続と新たな需要創出を支援するために設けられた制度です。
複雑な申請要件で知られる事業再構築補助金とは異なり、外食事業者向けにわかりやすく設計されています。
飲食店が感染症対策を強化しつつ、売上回復を目指すための業態転換や新規サービスへの挑戦を積極的に後押しする仕組みになっています。
業態転換の対象となる取り組み内容
商品やサービスの内容を変える取り組み
感染症拡大防止と売上増加の両立を目指すため、次のような取り組みが補助対象となります。
- 少人数対応型店舗へのリニューアル
- テイクアウトやデリバリー専用メニューの開発
- オンライン販売向け商品の企画
- サブスクリプション型カフェスペースの設置
- 料理教室や体験型イベントの実施
特に「お一人様需要」や「非接触型サービス」の拡大を見据えた業態変更が評価されます。
商品やサービスの提供方法を変える取り組み
提供方法の刷新も支援対象です。
- 店頭テイクアウト専用窓口の設置
- 冷蔵・冷凍自販機の導入による24時間販売体制の構築
- 自社ECサイトを活用した全国展開
- 宅配弁当事業の立ち上げと配達網の整備
これらの取り組みによって、店舗外での売上確保を図ることができます。
補助対象となる経費の範囲を詳しく解説
事業費に含まれる9種類の経費
補助対象となる経費は「事業費」と「委託費」に分かれており、事業費はさらに9種類に分類されます。
- 建物の改修や撤去費
- 機械装置やシステム構築費
- 知的財産権の取得費
- 専門家への依頼費用
- 運搬や配送にかかる費用
- 加工・設計などの外注費
- 広告宣伝・販売促進にかかる費用
- 研修・教育にかかる費用
- その他直接必要な経費
たとえば、自動販売機の導入にかかる機器購入費や、販促用の広告作成費も対象になります。
委託費も補助対象に含まれる
外部の専門業者に委託する場合の経費も補助対象です。たとえば、ECサイト構築を専門業者に委託するケースなどが該当します。
補助対象外となる主な経費
一方で、次のような経費は補助対象になりません。
- 事務所賃貸料、光熱費、提出書類作成費
- 不動産、車両、汎用機器(PC、スマホ等)の購入費
- 交付決定前に発注・購入した費用
単なる事務機器の購入や家賃補助は対象外となるため、注意が必要です。
補助率や上限金額と申請時のポイント
補助率と支援額の詳細
- 補助率:総事業費の1/2以内
- 上限額:1000万円
- 下限額:100万円
事業費が200万円未満の計画は補助対象外となるため、計画段階で事業規模の見積もりが重要です。
申請単位と注意点
申請は事業者単位で行い、複数店舗を展開している場合も1事業者としてまとめて申請します。
ただし、店舗ごとに異なる事業内容を計画することは可能です。
応募要件と共同事業者の選定が成功のカギ
応募対象となる飲食店の条件
補助金申請には、以下の条件を満たす必要があります。
- 第三者認証制度による感染防止認証を取得または申請済み
- 令和元年度と令和3年度の売上比較で5%以上の減少
- 中小企業または中堅企業規模に該当
- 他補助金との重複申請がないこと
なお、2020年以降に開業した店舗は対象外となるため注意が必要です。
共同事業者と連携する理由とポイント
申請には、共同事業者との連携が必須です。共同事業者とは、コンサルタント、中小企業診断士、金融機関、機械システム業者、施工業者などが該当します。
共同事業者と連携することで、事業計画の精度を高めると同時に、採択される可能性も高まります。
申請から補助金受給までの流れと現在の状況
令和4年9月15日から10月3日までが公募期間であり、すでに募集は終了しています。採択後は11月上旬に交付決定が行われ、速やかに補助事業が開始されました。事業完了後は、実施結果報告書を提出し、検査を経たうえで補助金の支払いが行われる流れとなっています。
補助金の支払いは令和5年3月頃を予定しており、現在では多くの店舗が導入効果に関する報告を進めています。
まとめ
外食産業向け業態転換支援事業は、コロナ禍で苦しんだ飲食店にとって、未来を切り拓く絶好のチャンスです。
冷凍自動販売機の導入やECサイトを使った販路拡大など、これからの飲食ビジネスに必要な取り組みを後押ししてくれます。
補助金をうまく活用し、感染症対策と売上増加の両立を実現するためにも、今後の支援制度情報にも常にアンテナを張っておきたいところです。