中小企業向け支援施策である「事業再構築補助金」や「事業承継・引継ぎ補助金」では、申請の際に認定支援機関の支援と確認書の提出が必須となっています。
本記事では、認定支援機関とは何か、どのように活用できるのか、さらに選び方のポイントについて詳しく解説します。
認定支援機関とは何か事業再構築補助金に不可欠な存在
認定支援機関とは、中小企業に対して経営支援を行う専門機関を指します。税理士、公認会計士、中小企業診断士、商工会・商工会議所、金融機関などがこれに該当します。
中小企業を取り巻く経営環境は年々複雑化しており、専門的な知識と経験を持つ支援者が必要とされる中、国が審査のうえ認定する制度が整えられました。認定支援機関は、経営改善や資金調達支援、事業承継支援など、幅広い分野で中小企業の成長をサポートしています。
認定支援機関を活用する具体的なメリット
認定支援機関を活用することで、企業経営にさまざまなプラス効果をもたらすことができます。
経営状況を正しく把握して課題を明確にできる
支援機関の専門家とともに現状を分析することで、表面的には見えにくい経営課題を把握することができます。これにより、的確な改善策を立てる土台が整います。
信用保証料の減額や融資条件の改善が可能になる
認定支援機関の支援を受け、事業計画を策定・実行した場合、信用保証協会の保証料が0.2%減額される特典があります。また、金融機関からの信用度も高まり、資金調達がより有利になります。
各種補助金の申請がスムーズに進む
事業再構築補助金や事業承継・引継ぎ補助金などでは、認定支援機関による確認書の提出が必要です。支援を受けながら申請書類を整えることで、採択率の向上にもつながります。
海外展開や知的財産活用にも対応できる
海外展開や知財活用といった高度な経営課題にも、認定支援機関のネットワークを活かして対応できる場合があります。自社単独では難しい課題にも取り組める体制が整います。
事業再構築補助金の申請における認定支援機関の役割
事業再構築補助金では、申請要件の一つとして、認定支援機関と連携して事業計画を策定し、確認書を取得することが求められます。
2021年から開始された事業再構築補助金では、第1回から第5回公募(2022年まで実施)において、多くの中小企業が認定支援機関と共に申請を行いました。なお、現在ではさらに第10回公募(2024年実施)まで進んでおり、認定支援機関の活用がますます重要視されています。
申請書のブラッシュアップ、採択後のフォロー体制を考えると、認定支援機関選びは極めて重要な要素となります。
認定支援機関ごとの事業再構築補助金採択実績について
申請先によって、支援の質や実績には違いがあります。
採択件数が多い地域とその傾向
過去のデータによると、東京都や大阪府など大都市圏を中心に採択件数が多い傾向が見られました。地域ごとの経済規模や事業者数に比例していると考えられますが、地方圏でも実績豊富な認定支援機関が存在します。
申請時には、単純な採択件数だけでなく、業種や事業規模に応じた適切な支援が受けられるかを重視して支援機関を選ぶことが大切です。
認定支援機関を利用する際の流れと注意点
認定支援機関の支援を受けるためには、一定のプロセスを踏む必要があります。
認定支援機関利用の5ステップ
- 経営課題やニーズの把握
- 自社に適した支援機関の選定
- 支援機関との相談開始
- 事業計画の策定と実行
- 計画実施後のモニタリングとフォローアップ
認定支援機関の選び方における注意点
支援機関選びでは、実績や得意分野をよく確認しましょう。単に採択件数が多いだけで選ぶのではなく、自社の業種や事業内容に理解が深い支援者を選ぶことが成功への近道です。また、複数の支援機関に相談し、相性を見極めるのも一つの手です。
認定支援機関の支援で得られる効果と今後の展望
認定支援機関の支援を活用することで、次のような効果が期待できます。
- 経営の可視化と課題解決
- 効率的な補助金・融資申請
- 海外展開や高度経営課題への対応
- 新たな取引先開拓支援
- 財務基盤の強化と資金調達力向上
近年では、物価高騰や原材料費の上昇など、企業を取り巻く環境はより厳しくなっています。こうした状況に対応するためにも、専門家の力を借りながら経営戦略を練ることが、これからの中小企業にとって重要なポイントとなるでしょう。
まとめ
認定支援機関は、中小企業・小規模事業者にとって、経営改善や事業拡大を支える強力なパートナーです。経営課題の発見から事業計画策定、資金調達、補助金申請支援に至るまで、幅広いサポートが受けられます。
今後も企業経営における不確実性が高まる中、自社の可能性を最大限に引き出し、持続的成長を実現するために、認定支援機関の活用を積極的に検討してみてはいかがでしょうか。