事業再構築補助金第2回公募の採択結果が発表され、応募数20,800件のうち9,336件が採択されました。宿泊業や飲食業、小売業を中心に幅広い業種で採択が進み、とりわけグランピング施設の開業やデジタル化(DX)推進などが目立つ結果となりました。
本記事では、採択結果の概要と業種別の注目される取り組み内容について解説します。
事業再構築補助金第2回公募の採択結果とポイント
令和2年度第3次補正予算に基づき実施された事業再構築補助金第2回公募(締切は2021年7月2日)は、応募総数20,800件(要件を満たした申請18,333件)に対し、9,336件が採択される結果となりました。なお、この結果は2021年9月9日に公表されています。
採択数の内訳と特徴
- 通常枠での採択数:5,388件
- 卒業枠での採択数:24件
- 緊急事態宣言特別枠での採択数:3,924件
今回は中堅企業向けに新設された「グローバルV字回復枠」への応募・採択はありませんでした。
業種別にみる採択傾向
宿泊業、飲食業、製造業、卸売・小売業からの応募・採択が特に多く、その他にも教育、サービス業、建設業など幅広い業種で取り組みがみられました。
地域別では、応募件数は東京都、大阪府、愛知県、兵庫県が上位を占め、採択率においては山梨県、富山県、高知県が高い水準となっています。
事業再構築補助金とはどのような支援制度か
事業再構築補助金は、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、既存事業の継続が難しくなった中小企業や中堅企業の思い切った事業転換を後押しするための制度です。令和2年度第3次補正予算として、総額1兆1,485億円が確保されています。
対象となる事業者と補助経費
【対象事業者】
- 国内に本社を有する中小企業、中堅企業、個人事業主、企業組合等
【補助対象経費】
- 建物費(建築、改修、撤去、原状回復)
- 機械装置・システム構築費
- 技術導入費
- 専門家経費
- 広告宣伝費・販売促進費
- 外注費、運搬費、クラウドサービス利用費、知的財産権等関連費用
- 研修費、卒業枠やグローバルV字回復枠に限り海外旅費
なお、不動産購入費や、申請時に作成する事業計画の作成費用は補助対象外です。
業種別にみる注目の採択事例と最新トレンド
第2回公募では、業種ごとに特徴的な取り組みが数多く見られました。ここでは特に注目すべき動向を詳しく紹介します。
宿泊業ではグランピング施設の新設がトレンド
宿泊業では、コロナ禍を契機にアウトドア需要が高まったことを受け、グランピング施設の開業やリゾート型ホテルへの転換が多く見られました。
高付加価値型のプライベートグランピング施設、ワーケーション対応型ホテル、ペットと泊まれる宿泊施設など、多様なニーズに応える事業再構築が進んでいます。
また、ユニバーサルツーリズムを取り入れた宿泊施設への転換や、地域の防災拠点として機能するホテル整備といった取り組みも採択されています。
飲食業はデリバリーとECサイト展開が中心
飲食業界では、デリバリーやテイクアウト事業への転換が顕著でした。特に、セントラルキッチン方式による生産効率化、ミールキットの製造・販売、ECサイト専用メニューの開発など、非接触型の販売モデルを強化する動きが見られました。
さらに、グランピング需要に合わせて、グランピング風焼肉店やアウトドア型レストランへの業態転換も目立ちました。
小売業ではDX推進と業態転換の事例が増加
小売業界では、ECサイトの立ち上げや無人店舗、IoT冷蔵庫活用型の新たな販売モデル構築といった、DX化を進める取り組みが多く採択されました。
一方で、対面販売だけに頼らない事業構造への転換として、介護用品への転業や地域ニーズに合わせた新業態へのチャレンジも見られます。
サービス業はオンラインサービスへのシフトが加速
サービス業界では、フィットネス、美容サロン、エステ、学習塾、音楽教室、料理教室など、多くの事業者がオンラインサービスに乗り出しました。
例えば、バレエやヨガのオンラインレッスンサイト運営、料理教室のオンライン転換、セルフエステサロン開設など、非対面型ビジネスモデルへのシフトが進んでいます。
コロナ禍で高まった健康志向に対応したサービス開発も採択のポイントとなっています。
まとめと今後の展望
今回ご紹介した事業再構築補助金第2回公募の結果は、2021年9月に発表されたものです。なお、この記事の執筆時点では第3回公募もすでに締め切られ、さらに第4回以降の公募も実施されました。今後も、同様の支援制度が継続される見込みです。
事業再構築補助金は、コロナ禍による市場環境の変化に対応し、事業の再構築や新たな分野への進出を目指す事業者にとって重要な支援策となっています。
今後も、時代の流れに合わせた事業転換やデジタル化への取り組みが求められるでしょう。
引き続き、制度の動向を注視し、チャンスを最大限に活用していくことが求められます。