中小企業が脱炭素経営を進めるうえで、初期投資の負担は大きな課題となっています。そうした課題に対応するため、地方自治体が実施している「GX（グリーントランスフォーメーション）戦略設備導入補助金」は、太陽光発電設備や電気自動車（EV）、高効率空調設備などへの補助を通じて、中小企業のGX推進を支援しています。
本記事では、補助対象設備や補助額、申請条件、申請手続きについて詳しく解説します。
GX戦略設備導入補助金の概要と目的
脱炭素社会実現に向けた地域支援の一環
GX戦略設備導入補助金は、中小企業の再生可能エネルギー設備導入やエネルギー効率化を支援する目的で設けられた制度です。
これは、地域全体のカーボンニュートラル実現に向けた取り組みを加速させるとともに、企業活動における環境負荷の軽減を後押しするものです。
電力コストの削減や企業イメージの向上といった効果も期待できるため、持続可能な経営を目指す企業にとって非常に有効な支援策といえるでしょう。
補助対象となるGX関連設備の具体例とその効果
補助の対象となる設備は、再生可能エネルギーの活用や省エネルギー性能の高い機器に限定されます。導入による電力使用量の削減やピークカットが期待できる設備が中心です。
太陽光発電設備と蓄電池の導入で電力の自給自足を実現
太陽光発電システムは、設備容量1kWあたり5万円の補助が受けられます。蓄電池については設置費用の3分の1が補助され、上限は1kWhあたり6,300円です。これにより、災害時の備えにもなる自家消費型の電力システムを構築できます。
EMSやLED照明で日常のエネルギー管理を効率化
エネルギーマネジメントシステム（EMS）は設置費用の3分の2が補助対象となり、電力の見える化と最適な運用を可能にします。LED照明の導入も補助対象であり、電力使用量を大きく削減できる点で非常に有効です。
高効率空調設備とEV・V2Hの連携でさらなる省エネ
空調設備の高効率化は、夏冬の電力ピーク対策に有効です。設置費用の2分の1が補助されます。また、電気自動車（EV）の導入には、積載されている蓄電池容量に応じて最大国の補助金額まで補助が支給されます。V2H（Vehicle to Home）設備により、EVから建物への電力供給が可能になり、災害対策としても注目されています。
補助対象となる中小企業の要件と申請の前提条件
補助金の対象となるのは、事業所または営業所を対象自治体内に有し、以下の条件を満たしている中小企業です。
一般的な申請条件の確認が重要
- 補助対象設備の設置場所に所有権を持っていること（借地等の場合は所有者の同意が必要）
- 国や国の委託を受けた団体の補助事業を併用していないこと
- エネルギー使用に関する情報提供が可能であること
- 税金や公共料金の滞納がないこと
- 反社会的勢力と関係がないこと
EV導入時に求められる追加の条件
電気自動車の導入を補助対象とする場合、以下の要件もクリアする必要があります。
- 車両の使用者・所有者が申請事業者本人であること
- 再生可能エネルギー発電設備を所有し、EVの消費電力をまかなえること
- 不足分の電力については、再エネ電力証書やグリーン電力メニューによる補填が可能であること
これらの条件を満たすことで、補助対象としての適格性を確保することができます。
GX設備導入補助金の申請方法と流れ
申請には複数の段階と書類の準備が必要です。手続きには十分な準備期間を設けることが推奨されます。
補助金申請のステップごとの流れ
- 申請条件の確認
制度の詳細は自治体の公式サイトや窓口で確認可能です。導入設備によって補助要件が異なるため、確認は必須です。 - 必要書類の準備
申請に必要な書式（交付申請書、誓約書、導入計画書など）をダウンロードし、記入・準備を行います。 - 申請書類の提出
書類一式を整え、役場の担当窓口へ提出します。なお、EVとV2Hに関しては購入・設置後に提出する形式となっています。 - 審査と交付決定通知
提出書類に基づき審査が行われ、交付の可否が文書で通知されます。 - 補助金の受領
交付決定後、指定口座に補助金が振り込まれます。
申請受付期間と注意点
この補助金は申請期限が設けられており、2025年2月15日までに申請が必要でした（※本記事執筆時点ではすでに受付終了）。ただし、今後も同様の補助制度が継続・再開される可能性があるため、公式情報の定期的なチェックが推奨されます。
必要書類とその確認方法
導入する設備ごとに必要な添付書類が異なります。代表的な書類は以下のとおりです。
- 交付申請書
- 誓約書
- 国基準適合確認書
- 創・省・蓄エネ機器導入計画書
- 設備ごとの見積書・仕様書など
様式はすべて公式ホームページからダウンロード可能です。不備があると審査に影響するため、提出前にチェックリストを活用して確認することが重要です。
GX推進と経営安定を両立するために補助金を活用しよう
GX戦略設備導入補助金は、企業が持続可能な経営に向けて一歩を踏み出す大きな助けとなる制度です。再生可能エネルギーの活用や電気自動車の導入によって、企業の環境負荷を減らしながらエネルギーコストの削減が図れます。
補助金の申請には事前準備が欠かせませんが、条件に合致すれば導入費用の大幅な軽減が可能です。申請受付が終了している場合でも、次年度以降の公募に備えて今から準備を進めておくとよいでしょう。
制度の最新情報は、自治体の公式サイトを随時確認するようにしてください。補助制度を上手に活用し、GXと企業成長の両立を実現しましょう。
