事業再構築補助金は、中小企業が新しい分野へ進出し経営の立て直しを図るための重要な支援制度です。しかし、申請しても不採択になったり、採択された後に交付が取り消されることもあります。これらの判断は、申請内容が制度の趣旨や要件に合致しているかどうか、提出書類に虚偽がないかなど、多角的な観点から行われます。
本記事では、公募要領を参考にしながら、不採択・交付取消・採択取消の代表的な15のケースを具体的に解説します。
不正受給に該当する行為とその重大なリスク
補助金申請で虚偽の記載が発覚した場合の影響
補助金の申請時に事実と異なる情報を記載した場合、その時点で不採択となるだけでなく、既に採択されていた場合でも交付は取り消されます。
さらに、既に受領していた金額については返還義務が生じ、加算金が発生することもあります。悪質な場合には社名の公表や刑事罰(懲役または罰金)といった重い処分が科されることもあるため、非常にリスクが高い行為です。
制度の趣旨に反する内容では採択されない
外注依存や他社任せの事業構成では通らない
再構築の実施内容の大部分を他社に外注・委託し、自社は企画部分のみに関与するようなケースは、自社の事業としての独立性に欠けるため、補助金の目的とされる「自立的な事業再構築」とはみなされません。
グループ企業で既に行われている事業は対象外に
補助金は、新規性や独自性のある挑戦を支援する制度です。グループ会社で既に展開されている事業内容を、他法人名義で再度申請するような行為は、簡単に実施可能な事業と判断され、対象外となるリスクが高くなります。
既存事業の延長では補助対象になりにくい
事業承継時の既存業務の継続は評価されない
承継した事業内容をそのまま再構築事業として申請した場合、それは既存事業の延長とみなされ、不採択の対象となります。
2020年4月時点で承継が確定していた場合、承継元・承継先は一体として審査され、過去から続く既存事業と評価されます。
資産運用を目的とした事業は適さない
不動産収益型事業や暗号資産マイニングの制限
不動産の賃貸事業や駐車場経営、暗号資産のマイニングなどは、事業としての労働密度が低く、資産の運用により収益を上げることが主目的であるため、補助金の対象とはなりません。
長期賃貸のみを目的とした設備投資は対象外
建物や設備を自社で使用せず、他社へ長期的に貸し出すだけの事業も除外されます。ただし、リース会社との共同申請で機械等を導入するケースなどは一部例外として認められる場合があります。
一次産業に取り組む事業は一部のみ補助対象
単純な作物の変更や新規の漁業参入は除外される
農業者が別の作物を作る、飲食店が漁業に参入するといった新規性の低い一次産業の取り組みは、補助金の対象にはなりません。
ただし、農作物の加工や商品開発など、明確な二次・三次産業への展開が認められれば、補助対象となる可能性があります。
付加価値要件の達成方法にも注意が必要
人員削減による付加価値の向上はNG
補助金の要件では、一定期間内に付加価値額の増加が求められますが、従業員の解雇などによるコスト削減でこれを達成しようとする手法は、制度の目的に反しているとされ、対象外になります。
法令違反や社会的倫理に反する事業も対象外
公序良俗に反する事業はすべて除外対象
反社会的、非倫理的な内容を含む事業、または社会的に容認されない活動を含む事業は、補助対象から明確に除外されます。例えば、暴力団との関係がある事業者、風俗営業関連の業種も申請不可です。
消費者保護の観点から不適切とされる事業
法令違反の可能性がある事業や、消費者に誤認や不利益を与える恐れのある事業も、交付対象外とされます。
重複申請や他制度との併用ルールにも注意
同内容の繰り返し申請や酷似案件は厳しくチェックされる
他社との申請内容が酷似している場合や、複数回の公募にわたり同じ内容を繰り返し申請するケースは「重複案件」として扱われ、不採択または採択取消の対象となります。
他制度との併用ができないケースもある
他の公的資金制度(例:他の補助金、固定価格買取制度、介護報酬など)とテーマが重なる場合、「二重受給」と判断され、交付が取り消される可能性があります。例外として、産業雇用安定助成金との併用は認められています。
公募要領に明記されたその他の除外事項
制度趣旨や審査基準にそぐわない事業も対象外に
明確な違反がなくても、全体として制度の趣旨や申請ガイドラインにそぐわないと判断される事業は、審査で除外されることがあります。
制度の目的と整合性があるかどうかは、書面だけでなく、事業の背景や将来性も含めて総合的に評価されます。
適正な申請で採択を勝ち取るために必要なこと
事業再構築補助金の申請では、単に必要な書類をそろえるだけでなく、制度の趣旨を正確に理解し、それに沿った内容を構成することが不可欠です。特に、形式的な計画ではなく、自社の経営課題に対する本質的なアプローチとその実行力が求められます。
また、誤解や認識不足による不備を防ぐためにも、申請前には必ず公募要領を詳細に確認し、必要に応じて専門家への相談を行うことが推奨されます。事業内容の適格性を客観的に判断し、採択の可能性を高める取り組みが成功への鍵となります。
※本記事は、2023年9月時点の第11回公募要領に基づいた内容をもとに解説しています。制度内容は今後の公募で変更される可能性がありますので、常に最新の公募情報をご確認ください。

