能登半島地震による中小企業・小規模事業者向け支援策まとめ

本記事では、令和6年能登半島地震による被害を受けた中小企業や小規模事業者を対象に、利用できる各種支援策を紹介しています。既往債務の負担軽減、特別貸付制度、信用保証制度、補助金制度など、多角的な支援内容について詳しく説明しています。

能登半島地震に伴う中小企業向け支援施策の全体像

令和6年1月に発生した能登半島地震では、多くの中小企業や小規模事業者が甚大な被害を受けました。これを受け、政府機関は資金繰り支援や再建支援を目的とした各種施策を打ち出しています。

主な内容は、既往債務の返済猶予、特別貸付や信用保証制度、補助金の活用支援などです。経営再建に向けた選択肢を広げるため、これらの制度を適切に活用することが重要です。

【柔軟な対応】被災事業者向け既往債務の返済支援

金融機関による返済猶予と手続き簡素化

日本政策金融公庫と商工組合中央金庫では、返済猶予申請が遅れても、さかのぼって柔軟に対応する措置を講じています。また、提出書類の簡素化や契約手続きの迅速化により、資金繰りに悩む事業者の負担軽減を図っています。

この対応により、被災後すぐに返済問題で苦しむことなく、事業継続に専念しやすい環境が整えられています。

【特別窓口設置】中小企業支援機関による相談対応

相談窓口の活用で支援策をフル活用

被災地域の各県には、日本政策金融公庫、商工組合中央金庫、信用保証協会、商工会議所、中小企業団体中央会などによる特別相談窓口が設置されています。

ここでは融資相談から補助金申請、経営相談まで幅広くサポートが受けられます。早めに相談することで、最適な支援策を選択しやすくなります。

【災害復旧貸付】能登半島地震に伴う特別融資制度

運転資金・設備資金の支援内容

災害復旧貸付は、被災企業の事業継続を支えるための重要な資金調達手段です。

  • 融資限度額:国民生活事業で最大3,000万円、中小企業事業で最大1億5,000万円(別枠)
  • 金利:1.2%(令和6年1月4日時点)
  • 融資期間:最大10年(設備資金は15年以内可)

資金繰りの安定を図るうえで、低利かつ長期の融資が受けられる点は大きなメリットです。

【セーフティネット保証4号】信用保証による資金繰り支援

売上減少への備えとなる特別保証制度

災害救助法が適用された地域の事業者には、セーフティネット保証4号の利用が可能です。通常枠とは別に信用保証が受けられ、保証割合は100%に設定されています。対象となるためには、売上高が前年同月比で20%以上減少しているなどの要件を満たす必要があります。

また、指定地域や条件については随時更新されるため、中小企業庁の公式情報を確認することが大切です。

【小規模企業共済災害時貸付】低利・迅速な資金調達を支援

即日融資も可能な制度概要

小規模企業共済契約者は、災害時貸付制度を利用することで、年0.9%という低利率での資金調達が可能です。準備書類が整えば原則即日で融資を受けられ、早期の資金確保が可能になります。

事業継続に必要な運転資金や復旧資金にスムーズにアクセスできる点が、この制度の大きな特長です。

【コロナ資本性劣後ローン特例】低利率による追加支援

直接被害を受けた事業者に0.5%金利適用

石川県などの災害救助法適用地域の事業者に対して、特別に0.5%の低金利でコロナ資本性劣後ローンが提供されます。罹災証明書や被害写真の提出が必要ですが、適用されれば資金調達コストを大幅に下げることが可能です。

適用開始日は別途発表される予定ですが、申請日ではなく令和6年1月1日以降に遡って適用される点にも注意が必要です。

【ゼロゼロ融資リスケ支援】保証料免除で負担軽減

既存借入の条件変更にも対応

被災事業者が既存のゼロゼロ融資等の条件変更(リスケジュール)を行う場合、信用保証料が免除される特別措置が設けられています。これにより、追加コストを負担することなく柔軟な返済計画の見直しが可能となります。

申込日は問わず、地震発生日の1月1日以降に遡って適用されるため、早めの手続きが推奨されます。

【小規模事業者経営改善資金】地震被害対応の特別融資

直接・間接被害に応じた低金利融資

小規模事業者向けには、直接被害・間接被害の程度に応じた特別融資が用意されています。

  • 直接被害:貸付金利▲0.9%減
  • 間接被害:貸付金利▲0.5%減
  • 融資限度額:1,000万円(別枠)
  • 担保・保証人:原則不要

商工会などによる経営指導を6か月以上受けることが条件となっています。

【特例災害時貸付】最大2000万円の無利子貸付

掛金実績に応じた資金支援

掛金に応じて最大2,000万円まで無利子で貸付を受けられる特例災害時貸付制度も用意されています。証明書類としては罹災証明や被災証明が必要です。

融資期間は、500万円以下の場合4年、505万円以上は6年となり、据置期間は12ヶ月と設定されています。

【伝統的工芸品産業支援補助金】復興を目指す事業者への補助

補助率3/4、最大1000万円支援

伝統的工芸品を製造する事業者向けに、最大1000万円の補助金が支給されます。生産設備整備や原材料確保、試作品製作など幅広い活動が支援対象です。

この補助金の公募は令和6年2月1日から2月16日まで行われ、すでに申請受付は終了していますが、今後の追加支援策が発表される可能性もあります。

支援策を効果的に活用するために

今回紹介した支援制度はいずれも被災事業者の再建を後押しするものですが、利用には期限や条件があります。

必要な証明書類の準備や申請書類の整備を早めに行い、各制度の公式情報を随時チェックすることが重要です。