二酸化炭素排出抑制対策補助金とは?脱炭素イノベーションを支援する取り組み

脱炭素社会の実現を目指し、環境省が実施する「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金」の追加公募が行われています。この制度では、民間企業や団体による先進的な取り組みを支援し、地域資源を生かした持続可能な社会の構築を促進します。

補助対象は自立・分散型エネルギーシステムの構築や温泉熱の利活用、温泉設備の高効率化、自動車CASEを活用した地域交通モデルの推進など多岐にわたり、計画策定から設備導入まで幅広く支援されます。地域循環共生圏の形成を軸に、カーボンニュートラルの達成に向けた具体的なアクションが期待されています。

二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金の概要

かつて経済成長の障害とみなされていた気候変動対策は、現在では持続可能な成長を生み出す原動力と考えられています。本補助金は、地域資源を活用した脱炭素社会への転換を後押しするため、温室効果ガス排出量の実質ゼロ達成に向けた先進的なモデル事業を支援するものです。

環境省の「地域循環共生圏」構想を軸に、地域の自立と連携を促進し、環境・経済・社会の統合的な発展を目指しています。

【補助対象】4つの重点事業と支援内容

自立・分散型地域エネルギーシステム構築支援事業(自立・分散エネ)

地域の再エネ自給率を向上させ、災害時などのエネルギーレジリエンスを高めることを目的としています。具体的には、再生可能エネルギーを活用した分散型エネルギーシステムの計画策定および設備導入が支援対象です。

支援内容と補助率

  • 計画策定事業:上限1,000万円、補助率3/4
  • 設備等導入事業:上限10億円、補助率2/3
    ※ガスコージェネレーションシステムは補助率1/3

導入対象となる設備には、再生可能エネルギー利用機器、自営線、熱導管、車載型蓄電池などが含まれます。

温泉熱等利活用による地域活性化促進事業(温泉熱等利活用)

地域資源である温泉熱を利活用し、エネルギーの地産地消と地域経済の好循環を実現する事業です。温泉熱を利用したバイナリー発電や熱供給システムの構築が主な対象です。

支援内容と補助率

  • 計画策定事業:上限1,000万円、補助率3/4
  • 設備等導入事業:上限3億円、補助率2/3

補助対象には、温泉熱利用設備、受変電設備、モニタリング装置などが含まれます。地域独自の資源を活用し、エネルギー自立と経済効果を両立させることが期待されています。

温泉供給設備高効率化改修による省CO2促進事業(高効率化改修)

温泉供給設備の改修によるエネルギー効率化と、二酸化炭素排出量削減を目的とする事業です。既存設備の更新を通じて省エネ効果を高めます。

支援内容と補助率

  • 計画策定事業:上限1,000万円、補助率3/4
  • 設備等導入事業:補助率1/2(費用対効果に基づく上限あり)

対象となる改修例には、ポンプや配湯管の交換、インバーターの追加、温泉モニタリング装置の設置などが含まれます。

自動車CASE活用による脱炭素型地域交通モデル構築支援事業(脱炭素交通)

電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)などの電動モビリティを活用し、地域交通の脱炭素化を図る事業です。交通インフラの電動化とエネルギー最適利用を推進します。

支援内容と補助率

  • 計画策定事業:上限1,000万円、補助率3/4
  • 設備等導入事業:上限5億円、補助率1/2

対象設備には、電動モビリティ、充放電設備、必要な通信・制御システムなどが含まれます。

補助金申請から受給までの流れ

応募書類提出と審査

応募は電子メールによる提出のみ受け付けられます。必要書類は事業ごとに異なり、提出期限を厳守する必要があります。

審査を経て採択が決定し、12月中旬頃に結果が通知されます。

事業実施と完了報告

交付決定後、補助事業を開始し、原則として2月末までに検収・支払いを完了します。完了後30日以内または3月10日までに完了実績報告書を提出しなければなりません。

補助金の受領手続き

交付額確定通知を受けた後、精算払請求書を提出し、補助金が支払われます。この一連の手続きをスムーズに進めることが、円滑な補助金活用には不可欠です。

地域循環共生圏の形成で未来を切り拓く

脱炭素社会の構築は、単なる環境保護の枠を超え、地域経済の活性化や社会課題の解決にもつながります。地域独自の資源を最大限に活用し、自立・分散型社会を形成する「地域循環共生圏」は、これからの持続可能な成長モデルです。

今回の補助金制度を活用することで、地域の未来を自ら切り拓く大きな一歩を踏み出すことができます。脱炭素と地域活性化の両立に向けたチャレンジを、ぜひ進めてみてはいかがでしょうか。