中小企業の賃上げを後押しする事業再構築補助金の申請要件と補助率アップの条件

中小企業の賃上げを支援する「事業再構築補助金」では、給与総額を一定以上増加させることで、補助率の引き上げが認められる制度があります。本記事では、事業再構築補助金の「給与総額増加要件」および「補助率引上要件」の内容や条件、注意点について詳しく解説します。

補助金の活用を検討している事業者にとって、制度を正しく理解し、効率的に利用するためのポイントをまとめました。

事業再構築補助金は中小企業の転換を支援する制度

事業再構築補助金は、中小企業が新分野展開や業態転換を通じて、事業の再構築を行う際の費用を支援する制度です。新しい成長に向けた挑戦を後押しすることが目的で、補助対象の事業者には複数の支援枠が用意されています。

補助金制度の主な類型とその特徴

補助制度には以下のような枠が設けられています。それぞれに対象事業や支援内容が異なります。

  • 成長枠
  • グリーン成長枠(エントリー・スタンダード)
  • 卒業促進枠
  • 大規模賃金引上促進枠
  • 産業構造転換枠
  • 最低賃金枠
  • 物価高騰対策・回復再生応援枠

このうち、賃上げと関係が深いのは「成長枠」と「グリーン成長枠」です。これらの枠では、給与総額の増加が要件とされており、さらに補助率の引き上げも狙える制度設計となっています。

成長枠とグリーン成長枠の補助金額と補助率の違い

中小企業の規模や事業内容に応じて、補助金の上限額や補助率が設定されています。

成長枠の概要

  • 補助金額は最大7000万円(従業員101人以上の場合)
  • 補助率は中小企業で1/2、一定条件下では2/3に引き上げ
  • 補助事業の実施期間は、交付決定日から12か月以内(例外的に14か月)

グリーン成長枠の概要

  • 最大で1.5億円の補助が可能(中堅企業等・スタンダード枠の場合)
  • エントリー枠では中小企業に最大8000万円支給
  • 補助率は1/2または2/3、中堅企業の場合は1/3または1/2
  • 実施期間は最長で16か月まで対応可能

給与総額増加要件は賃上げ実績を求める制度的条件

給与総額増加要件は、補助金の交付を受けるにあたって重要な審査基準のひとつです。これは、補助金の申請者に対し、一定期間で着実な賃上げを求めるものです。

年率平均2%以上の賃上げが必要

給与総額増加要件では、補助事業が終了した後の3~5年間、給与支給総額を年平均2%以上増やすことが求められます。これは、単年度の増加ではなく、複数年にわたる安定した賃金向上を重視する設計です。

給与総額の基準と判定方法

  • 法人の場合:法人事業概況説明書に記載された人件費を基に判断
  • 個人事業主の場合:所得税青色申告決算書の給与・賃金などの合計額を使用

この給与総額が基準年度と比較され、申請時点および報告時に目標に達している必要があります。

誓約と達成義務の明文化

申請時には、賃金引上げ計画の誓約書の提出が必要です。もし、正当な理由なく目標を下回った場合には、企業名が公表される場合があります。また、要件達成のために一時的な引き下げを行って調整するような方法も認められていません。

補助率引上要件でより高い支援を得るための条件

補助率引上要件は、企業がより積極的な賃上げに取り組むことで、通常の補助率からさらに上乗せされる仕組みです。

年平均6%以上の賃上げが必要

補助率引上要件の達成には、給与支給総額を年平均6%以上引き上げることが求められます。これは中小企業にとっては大きな負担にもなり得ますが、補助率の引き上げという形でその分の支援が提供されます。

最低賃金も年額45円以上引き上げる必要がある

さらに、事業場内の最低賃金も年45円以上引き上げなければなりません。これは物価上昇に対応した制度改定の一環であり、従業員の生活安定を目的としています。

補助率アップの対象枠と補助水準

  • 中小企業:通常1/2 → 達成時2/3
  • 中堅企業:通常1/3 → 達成時1/2

補助率の引き上げによって、実質的な自己負担額が減少し、事業再構築への取り組みやすさが格段に向上します。

補助金の対象経費と申請後のスケジュール管理

補助金の対象となる経費は広範囲にわたっており、事業の再構築に必要な多くの項目が支援対象です。

対象となる経費の一例

  • 建物の新築や改修費用
  • 機械装置・システム構築費
  • 技術導入や外注費
  • 広告宣伝・販売促進費
  • 研修費や専門家費用など

これらの経費に対して、補助率に応じた支援が行われます。

報告義務と補助率確定のタイミング

補助事業終了後には、事業実績に基づく報告が求められます。特に補助率引上要件については、初回の事業化状況報告の際に、目標の達成可否が確認されます。

もし達成できていなかった場合には、補助率の引き上げ分について返還が求められる点に注意が必要です。

中小企業が賃上げと事業再構築を両立させるために

物価高や人件費の上昇が続く中、中小企業にとって賃上げは避けられない課題です。しかし、それを前向きな投資と捉え、事業再構築補助金を活用すれば、企業の成長と従業員の待遇改善を同時に実現することが可能になります。

制度の仕組みを正しく理解し、計画的な事業運営と継続的な賃上げに取り組むことで、より手厚い補助を受けるチャンスを得ることができます。補助金の要件と申請スケジュールを踏まえ、長期的な視点での賃金設計と経営戦略を立てていくことが重要です。

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