中小企業の事業再構築を支援する「事業再構築補助金」は、継続的な制度改正を重ねながら令和4年度も公募が実施されました。特に第6回公募以降では、制度の見直しや新たな支援枠の創設により、補助対象の幅が広がり、活用の可能性がさらに高まっています。
本記事では、最新の制度変更点を中心に、事業者が活用すべきポイントを詳しく解説します。
令和4年度に行われた公募と今後の見通し
事業再構築補助金は令和4年1月から第5回公募が行われ、その後も年間を通じて複数回の公募が予定されていました。特に第6回公募以降では、予算の使途や申請条件が大幅に見直され、より多くの事業者に対応できる制度へと進化しました。
第5回公募は既に終了していますが、このタイミングで公表された制度改正は第6回以降の公募に大きな影響を与えており、今後申請を検討する事業者にとっても重要な内容です。
回復再生応援枠が創設され支援対象が拡大
第6回公募以降、「緊急事態宣言特別枠」に代わって「回復・再生応援枠」が新設されました。これは業績が大きく落ち込んだ事業者や、再生計画に取り組む事業者に向けた、より手厚い支援措置です。
売上30%以上の減少または再生計画の策定が条件
この枠では、以下のいずれかを満たすことが申請の前提条件となります。
- 2021年10月以降、いずれかの月の売上高が、2019年または2020年同月比で30%以上減少している
- 公的な再生支援機関と連携し、再生計画を策定している(要件の詳細は今後明確化)
補助率が通常よりも高く設定されている
中小企業に対しては補助率が3/4に引き上げられ、最大1,500万円までの補助が可能になります。さらに、「事業再構築指針」における主要な設備変更要件が緩和されており、取り組みやすさも向上しています。
グリーン成長枠で脱炭素関連の投資が対象に
脱炭素社会の実現に貢献する事業を後押しするため、「グリーン成長枠」が創設されました。この枠では、高い成長性と環境面での貢献が求められるものの、補助内容は非常に充実しています。
最大1.5億円の補助が可能で要件も明確
対象となるのは、環境関連分野への新規参入や事業転換などです。たとえば、従来のガソリン車向け部品製造から、電気自動車用部品への転換といった具体的な方向性が示されています。
申請要件としては以下の3点がポイントです。
- 認定支援機関と連携して事業計画を策定する(補助額3,000万円超は金融機関の関与も必要)
- 事業終了後3~5年で付加価値額または従業員一人あたりの付加価値額が年率5%以上増加すること
- グリーン成長戦略14分野に沿った課題解決に取り組み、研究開発や人材育成も実施すること
通常枠の補助上限額がより細かく再設定された
より多くの事業者に支援を行き渡らせるため、通常枠の補助上限額が見直され、企業規模に応じた4段階の設定となりました。
- 従業員数に応じて:2,000万円/4,000万円/6,000万円/8,000万円のいずれか
- 従来は3段階の設定で、最小額は4,000万円からだったため、より小規模な企業でも申請しやすくなった
売上高10%減少要件が簡素化され負担が軽減
申請要件の一つである売上減少要件も、第6回公募以降は大幅に簡素化されました。
新たな基準は「任意の3か月間の10%減少」のみ
従来は、「2020年10月以降の任意の6か月間のうち3か月で5%以上減少」など複数の条件が重なっていましたが、今後は以下のシンプルな要件に一本化されます。
- 2020年4月以降の任意の6か月間に連続した3か月の売上合計が、コロナ前(2019年または2020年1~3月)と比べて10%以上減少していること
新規事業の売上高10%要件が緩和されて柔軟に
事業再構築補助金では、新たに開始する事業の売上が全体の10%以上を占めることが求められていましたが、この基準にも柔軟性が加わりました。
新たに「付加価値額15%以上」でも要件を満たすとされた
これにより、短期的に売上が立ちにくい事業や、付加価値が高いが市場開拓に時間がかかる事業などでも、申請のチャンスが広がります。また、売上高が大きい事業者に対しては、事業部門単位での評価も可能になりました。
補助対象経費や申請の手続きにも多数の変更点あり
制度の実施運用にも見直しが加えられ、申請の柔軟性が高まりました。
補助対象の範囲が広がった経費項目
- 貸工場賃借料:一時的な退去が条件で補助対象に(第5回以降)
- 建物費:原則改修のみに制限され、新築は制限付き(第6回以降)
- 研修費:補助対象経費の1/3を上限とする制限が設けられた
対象法人や申請形態の拡充
- 農事組合法人が新たに補助対象法人として追加された
- 複数企業連携型の申請が可能になり、最大20社まで連携して申請可能に
- 売上要件は個別もしくは連携体全体での充足でも可とされている
事前着手の対象期間も見直しへ
2021年2月15日から始まっていた事前着手期間は、第6回以降に見直されました。既に着手している事業は補助対象とならない可能性があるため、最新の公募要領を確認する必要があります。
まとめ
令和4年度の制度改正により、事業再構築補助金はより柔軟かつ実効性のある支援制度へと進化しました。特に、回復再生応援枠やグリーン成長枠といった新設枠の登場によって、業績が厳しい事業者や脱炭素分野に進出する企業への支援が強化されています。
補助対象の要件緩和や経費項目の拡大も進み、これまで制度を活用しにくかった事業者にもチャンスが広がっています。今後の公募に向けては、自社の現状を踏まえた計画づくりと、最新の制度情報の把握が重要となるでしょう。

