事業再構築補助金の「グリーン成長枠」は、カーボンニュートラル実現に向けた新たな事業展開を支援する制度です。エントリー枠とスタンダード枠に分かれ、それぞれ補助額や申請要件が異なります。
補助対象者や対象経費、申請手続きに加え、成長や賃上げを促す上乗せ枠も設けられています。本記事では、制度全体の仕組みを分かりやすく解説します。
グリーン成長枠の目的と基本的な構造
脱炭素社会の実現を目指す事業再構築支援
グリーン成長枠は、環境問題に取り組みつつ、事業転換や業態転換を目指す企業を支援することを目的としています。特に脱炭素や省エネルギーに関連した技術・商品・サービスの開発や提供を行う事業が対象です。
この枠には、比較的簡易に申請できるエントリー枠と、要件のハードルが高い分支援規模の大きいスタンダード枠があります。
申請者別に設定された補助額と補助率
補助額は従業員数に応じて上限が変動
エントリー枠では従業員規模ごとに補助額の上限が異なり、少人数の企業でも申請しやすい設計になっています。スタンダード枠は一律で最大1億円(中堅企業は1億5,000万円)と、より大規模な投資を支援します。
補助率に賃上げ要件を連動
中小企業では基本1/2、中堅企業では1/3が補助されますが、大規模な賃上げ計画がある場合、補助率が引き上げられる仕組みです。これは、企業の賃上げを促すとともに、経済の底上げにもつなげる意図があります。
グリーン成長枠の申請対象と具体的な条件
対象事業者と申請資格のポイント
補助の対象は、国内に本社を持つ中小企業および中堅企業です。過去に交付決定を受けた企業でも、一部の条件を満たすことで再度の申請が可能になります。
再申請する場合の主な条件
- 過去に採択された枠がグリーン成長枠以外であること
- これまでに2回以上採択されていないこと
- 異なる内容の事業であること
- 新たな取り組みを実行できる体制や資金力があること
必須となる6つの申請要件
以下の要件を満たした事業計画の提出が求められます。
- 事業再構築指針に準拠した内容であること
- 補助金額が3,000万円を超える場合、金融機関と認定支援機関の確認を得ること
- 付加価値額または一人あたり付加価値額が年平均4~5%増加する計画を立てること
- 成長分野に資する取組(例:再エネ、EV、半導体等)であること
- 1年以上(スタンダードでは2年以上)の研究開発または人材育成を実施すること
- 給与支給総額を3~5年で年平均2%以上増加させること
グリーン成長枠で認められる対象経費の詳細
設備投資や研究開発、人材育成に幅広く対応
補助対象となる経費は多岐にわたり、具体的には以下のような支出が認められています。
- 建物費(新設・改修・撤去・原状回復等)
- 機械装置・システム構築費(ハード・ソフト両方含む)
- 技術導入費(外部技術の導入に必要な経費)
- 専門家経費(コンサルティングなど)
- 運搬費・外注費・研修費
- クラウドサービス費用・知的財産権関連費
- 広告宣伝・販促費(動画・パンフレット・Web施策など)
これらの経費は、補助事業の目的と整合していることが前提です。
成長を後押しする卒業促進枠と賃上げ促進枠
中堅企業化を目指す卒業促進枠
この枠は、中小企業が将来的に中堅企業へと成長するためのインセンティブです。補助事業終了後3~5年で規模の拡大が求められます。補助額や補助率、経費対象はグリーン枠と同様ですが、経費の区分管理が必須です。
賃上げに特化した大規模賃金引上促進枠
賃金の大幅な引上げを行う企業には、最大3,000万円の追加補助が支給されます。要件としては、以下の2点が求められます。
- 最低賃金を年額45円以上引き上げる
- 従業員数を年率平均1.5%以上増加させる
この枠も、グリーン枠と補助率や対象経費が連動しています。
申請から補助金受給までの流れと提出書類
電子申請で完結するスキーム
申請は電子申請システム(GビズIDプライム)を利用して行います。公募開始から補助金支払いまでの一連の流れは、以下のようになります。
- 公募開始
- 電子申請
- 採択通知
- 交付申請
- 補助事業実施(原則14か月以内)
- 検査・請求
- 補助金支払い
- アフターフォロー報告
※第10回公募は2023年3月30日開始〜6月30日締切、採択発表は同年8月下旬~9月上旬に実施済みです。
提出が必要な主な書類一覧
- 事業計画書
- 金融機関・認定支援機関の確認書
- 直近2期分の決算書
- 労働者名簿や確定申告書控え
- 電子申請用の事業財務情報(ミラサポplus)
- 賃上げ誓約書・研究開発計画書 など
事業計画の作成で意識すべき点
実現可能性と持続可能性が評価の鍵
申請にあたって作成する事業計画では、具体性と将来性の両立が求められます。審査で重視されるのは、実現性の高い投資計画、従業員や地域経済への波及効果、継続的な収益化の見込みなどです。
市場規模の明確な把握や、価格設定、競合との差別化ポイントを記載し、補助金ありきではなく、独立した事業として成り立つ構成に仕上げることが大切です。
まとめ
グリーン成長枠は、環境配慮と事業の成長を両立させる取り組みに対する国の後押しです。従来の枠に比べて補助内容が手厚く、研究開発や人材育成といった中長期的な投資にも対応しています。
制度を活用することで、脱炭素社会に対応した競争力ある事業構築が可能になります。申請には一定の準備期間が必要ですが、社会的意義と事業性の両立が期待される企業にとって、大きなチャンスとなるでしょう。

