事業再構築補助金の「最低賃金枠」は、最低賃金の引き上げにより影響を受ける中小企業を支援する枠組みとして導入されました。第8回公募においては、最低賃金枠の申請要件が緩和され、従来よりも広い範囲の事業者が対象となる見込みです。
主な見直し点は、売上高減少要件の緩和、最低賃金要件の期間変更、新規性要件の一部任意化です。本記事では、それぞれの変更点とその影響について詳しく解説します。
事業再構築補助金とは
事業再構築補助金は、中小企業等が新たな事業分野への進出や業態転換などを行う際に、その取り組みを支援する国の補助制度です。宿泊業・飲食サービス業、卸売・小売業を中心に幅広い業種が対象となっており、採択されれば最大8,000万円の補助金が支給されます(通常枠の場合)。補助率は中小企業で最大3分の2、中堅企業で最大2分の1となっています。
制度には複数の申請枠が用意されており、申請者の経営状況や取り組みの内容に応じて選択可能です。その中で「最低賃金枠」は、最低賃金の上昇によって特に打撃を受ける事業者向けの支援枠として設けられています。
最低賃金枠の概要と支援内容
対象事業者の条件
最低賃金枠は、以下の条件を満たす中小企業および中堅企業を対象としています。
- 最低賃金+30円以内で雇用している従業員が全従業員数の10%以上いること
- 事業再構築指針に沿った事業計画を策定し、認定支援機関の確認を受けていること
- 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年平均3%以上の増加を見込む事業計画を立てていること
補助内容
| 従業員数 | 補助金額(上限) | 補助率 |
|---|---|---|
| 5人以下 | 100万~500万円 | 中小企業:3/4 中堅企業:2/3 |
| 6〜20人 | 100万~1,000万円 | |
| 21人以上 | 100万~1,500万円 |
補助率は通常枠よりも高く設定されており、申請が採択される可能性も比較的高くなっています。
第8回公募での要件緩和のポイント
第8回公募から、最低賃金枠の申請要件が見直され、以下の3点が大きく変更されました。
売上高等減少要件の緩和
従来は、コロナ前と比較して売上高が30%以上減少または付加価値額が45%以上減少していることが求められていました。しかし、第8回公募以降は通常枠と同様に緩和され、
- 売上高が10%以上減少
- または付加価値額が15%以上減少
していることが要件となります。これにより、対象となる事業者の範囲が大幅に広がります。
最低賃金要件の対象期間の見直し
最低賃金要件に関しては、要件となる雇用期間の対象が以下のように変更されました。
| 現行期間 | 改正後期間 |
|---|---|
| 2020年10月~2021年6月 | 2021年10月~2022年8月 |
この期間内に、3か月以上「最低賃金+30円以内」で従業員を雇用していた実績があるかが判断基準となります。
製品等の新規性要件の一部緩和
「事業再構築」であることを証明するためには、新しい製品やサービスの導入が必要とされますが、この新規性要件も緩和されました。
現行では、以下3つの要件をすべて満たす必要がありました。
- 過去に製造等した実績がないこと
- 製造等に用いる主要な設備を変更すること
- 定量的に性能または効能が異なること
第8回公募以降は、要件②が任意要件となり、①と③の2項目を満たせばよくなりました。これにより、事業内容に柔軟性が生まれ、申請のハードルが下がります。
今後の申請に向けてのポイント
最低賃金枠は、補助金額の上限は通常枠よりも低いものの、補助率の高さや採択の優遇措置などの点で、特に小規模事業者にとって魅力的な選択肢です。
特に注目すべきは、売上高等減少要件の緩和です。これにより、これまで対象外だった事業者も最低賃金枠にチャレンジできる可能性が高まりました。また、製品等の新規性要件の緩和も、柔軟な事業計画の立案を可能にします。
まとめ:最低賃金枠の活用で支援を最大限に
第8回公募における最低賃金枠の要件緩和は、中小企業の再建・再成長をより現実的なものにする大きな一歩です。新要件のもとで、自社が対象に該当するかを早めに確認し、認定支援機関と連携して計画的な準備を進めることが重要です。
要件緩和により申請のハードルが下がった今、最低賃金枠の活用を検討することは、中小企業にとって大きなチャンスと言えるでしょう。

