政府が推進する「子育て支援」や「女性の活躍促進」に取り組む中小企業に対し、くるみん認定・えるぼし認定の取得が補助金申請時の加点対象として位置付けられています。
本記事では、加点措置の概要と対象補助金、各認定制度の仕組みや申請手続きについて詳しく解説します。これらの認定を活用することで、補助金申請の採択可能性を高めることができます。
中小企業向け補助金におけるくるみんとえるぼし認定の加点措置
社会的課題への取り組みが補助金申請で評価される時代に
企業の社会的責任や働きやすい環境の整備が重視されるなか、子育て支援や女性活躍推進への取り組みが補助金の審査にも反映されるようになっています。くるみん認定やえるぼし認定は、その取り組みを可視化する制度であり、認定を受けることで補助金申請時に加点される可能性があります。
加点対象となる主要な補助金制度
現在、以下の補助金制度において、加点措置が適用されます。※一部の制度ではすでに募集期間が終了している場合があります。
- 事業再構築補助金
経済構造の変化に対応した事業転換や業態転換を支援。 - ものづくり補助金
生産性向上を目的とした設備投資や試作品開発を支援。 - IT導入補助金
ITツールの導入による業務効率化や経営力の強化を後押し。 - 小規模事業者持続化補助金
販路開拓や業務改善など、小規模事業者の経営支援に特化。 - 事業承継・引継ぎ補助金
事業承継や再編に伴う取り組みにかかる費用の一部を補助。
これらの補助金は2023年以降も継続的に公募が行われており、直近の公募においても加点措置の対象とされています。応募の際には、最新の募集要領を確認しておくことが重要です。
くるみん認定の内容と認定基準を確認する
くるみん認定とは何か
くるみん認定は、次世代育成支援対策推進法に基づいて「子育てサポート企業」として厚生労働省が認定する制度です。企業が一般事業主行動計画を策定し、その計画に基づく目標を達成したうえで、一定の基準を満たすことが求められます。
くるみん認定の4つの種類と特徴
基本のくるみん認定
初歩的な認定であり、行動計画の策定、実施、目標達成、情報公開が主な条件です。育児休業取得率や労働時間の管理状況も評価対象になります。
プラチナくるみん認定の高度な基準
より高水準の子育て支援に取り組む企業に対して与えられる認定で、男性の育児休業取得率や在職継続率など、より厳格な指標が求められます。
トライくるみん認定で段階的な取得を目指す
2022年から導入された制度で、初期段階の取り組みを評価。プラチナくるみん認定への申請にも直結する制度です。
プラス認定で不妊治療支援も評価対象に
不妊治療と仕事の両立を支援する企業を対象とした認定で、くるみん等の基準に加え、独自の休暇制度や研修実施が求められます。
認定取得に必要な申請手続き
都道府県の労働局に対し、必要書類を郵送・持参・電子申請のいずれかで提出します。手続きは無料で、所定の様式を使用して行います。
女性活躍推進を評価するえるぼし認定の仕組み
えるぼし認定の意義とメリット
えるぼし認定は、女性活躍推進法に基づき、女性の雇用環境改善に取り組む企業に対して与えられます。企業が策定した行動計画の実施状況や、女性管理職比率、働き方の柔軟性などの視点から評価されます。
認定には段階がある
3段階に分かれるえるぼし認定
1段階目から3段階目まであり、基準を多く満たすほど上位の段階になります。公表している実績や改善傾向も評価の対象です。
プラチナえるぼしで最高ランクを目指す
行動計画の目標達成や高水準の取り組みを実施し、さらに8項目以上の情報を公表している企業に与えられる最高ランクの認定です。
えるぼし認定の申請方法
認定申請には所定の申請書(様式第1号または第2号)を使用し、必要書類とともに都道府県労働局へ提出します。オンライン申請にも対応しています。
認定を受けた企業が得られる補助金以外の効果
企業イメージの向上と採用活動への波及効果
くるみんやえるぼし認定の取得は、対外的な信頼性の向上にもつながります。求人広告や企業ホームページで認定マークを掲示でき、求職者へのアピール効果も大きくなります。
公共調達や入札での評価にも影響
一部の自治体や公的機関では、入札時の評価項目に認定取得が含まれる場合があり、ビジネスチャンスの拡大にも寄与します。
まとめ
子育て支援や女性の活躍推進は、国を挙げて取り組んでいる重要課題のひとつです。くるみん認定やえるぼし認定の取得に応じた補助金の加点措置は、国が進める「両立支援の取り組み」を前進させられるでしょう。
中小企業としても補助金の獲得確率を高められるため、自社で取り組んでいる施策があれば積極的に活用してみましょう。認定の取得は時間と手間がかかりますが、それ以上の成果が期待できます。事前の準備と計画的な申請が鍵となります。