事業再構築補助金の第6回公募では、コロナ禍からの経済回復と将来の成長に向けた支援を強化するため、制度内容が大幅に見直されました。新たな事業類型の追加や要件の緩和、さらにリース会社との共同申請が可能になるなど、より幅広い事業者が利用しやすい制度設計となっています。
本記事では、第6回公募の概要、変更点、補助対象、申請手続きの流れについて解説します。
日本企業の変革を促す事業再構築補助金の背景
成長投資の停滞と経済構造の課題に対する支援
日本企業が抱える構造的課題として、新製品・新サービスの市場投入の少なさ、営業利益に対する設備投資の比率の低下、個人単位の貧困率上昇などが挙げられます。これに加えて、コロナ禍による売上減少が追い打ちとなり、多くの中小企業が新たなビジネスモデルへの転換を迫られています。
事業再構築補助金は、こうした経営環境の変化に対応するため、新分野への進出や業態転換といった「攻めの投資」を後押しする目的で設けられました。
第6回公募で見直された要件と支援内容
売上減少要件がシンプルに一本化
第6回では、従来の2段階の売上要件が見直され、以下の1つの条件のみで申請可能になりました。
- 2020年4月以降の連続する6ヶ月のうち任意の3ヶ月間の売上合計が、コロナ前(2019年または2020年1〜3月)と比較して10%以上減少していること
これにより、要件確認の手間が軽減され、より多くの事業者が申請しやすくなっています。
新たに設けられた支援枠の内容と条件
経営が厳しい事業者向けに回復再生応援枠が追加
経営状況が悪化している事業者や再生計画に取り組む企業に対しては、新たに「回復・再生応援枠」が設けられました。補助率が通常枠の2/3から3/4に引き上げられ、上限は1500万円です。
対象となる事業者の要件
- 2021年10月以降のいずれかの月の売上が、コロナ前と比べて30%以上減少している
- または、同期間に付加価値額が45%以上減少している
- 再生支援協議会スキームに基づく再生計画を策定していること
脱炭素社会を見据えたグリーン成長枠の導入
環境対応型ビジネスへの投資を後押しするため、「グリーン成長枠」が新設されました。この枠では売上減少の要件がなく、最大1.5億円までの補助が可能です。
グリーン成長枠の主な要件
- 認定支援機関と策定した成長戦略に基づく事業計画を有する
- 補助事業終了後3〜5年で、付加価値額または従業員1人あたり付加価値額を年率平均5%以上増加させること
- カーボンニュートラル関連分野に該当する取り組みであること(研究開発や人材育成を含む)
補助金上限額の引き上げと柔軟な設定
従業員数に応じて補助金の上限が段階的に設定され、企業の規模に応じた支援が受けやすくなりました。第6回公募では以下のように分類されています。
- 従業員数5人以下:最大2000万円
- 6〜20人:最大4000万円
- 21〜50人:最大6000万円
- 51人以上:最大8000万円
これにより、規模の異なる企業が適切な補助を受けられる設計となっています。
リース会社と共同での申請が可能に
リースを活用した柔軟な投資手法への対応
第6回からの新たな特徴として、リース会社と中小企業が共同で申請できるようになりました。これにより、企業が機械装置やシステムをリースで導入する場合でも補助金の対象となります。
共同申請のポイント
- リース料から補助金分を差し引いた形でリース契約を締結
- リース会社が補助金の交付対象となる
- リース会社は中小企業・中堅企業に限られない
この仕組みは、資金繰りが厳しい企業にとって、初期投資負担を抑えた設備導入を実現する手段となります。
各種支援枠の追加条件と特色
最低賃金枠で人件費への配慮を評価
- 最低賃金+30円以内で雇用している従業員が全体の10%以上いること
- 売上高または付加価値額が30%以上減少していること
最低賃金近辺で働く労働者の雇用維持を評価し、支援対象とすることで、労働環境への配慮を強化しています。
大規模賃金引上枠で賃上げや雇用増を促進
- 最低賃金を年45円以上引き上げる
- 従業員数を年平均1.5%以上増加させる
経済の循環を生み出すため、企業の収益改善だけでなく、従業員の待遇改善や雇用創出にも焦点を当てています。
補助対象経費と申請の流れ
投資対象とされる主な経費項目
- 機械装置、システムの購入費
- 建物の新築・改修費(必要性が認められた場合)
- 外注費や広告宣伝費
- 技術開発・人材育成にかかる研修費(補助対象経費の1/3まで)
申請前に事前着手申請を行えば、一部経費については遡って補助対象とすることも可能です(令和3年12月20日以降の支出に限る)。
補助金受給までの基本的な流れ
- 認定支援機関との事前相談・計画策定
- GビズIDによる電子申請
- 採択後の交付申請と補助事業の実施(最大14ヶ月)
- 実績報告、確定審査、補助金の請求と受領
- 事業終了後5年間の報告義務あり
提出書類と注意点
申請時には、基本的な提出書類に加え、選択する支援枠に応じた追加資料が必要になります。
特に、再生枠や賃金枠などでは、売上や賃金水準、付加価値額の証明書類が求められるため、事前に確認と準備を徹底しましょう。
公募スケジュールと過去の日程について
第6回公募は2022年3月28日に開始され、同年6月30日に締切となりました。すでに終了しているため、今後の公募に向けた参考情報としての活用が推奨されます。制度の傾向や要件の変遷を把握することで、次回公募への準備に活かせる内容となっています。
今後の制度活用に向けて
第6回公募の内容は、事業再構築補助金が時代のニーズに応じて進化していることを示しています。コロナ禍で影響を受けた企業だけでなく、脱炭素化やDX(デジタルトランスフォーメーション)への対応を目指す企業にとっても、有効な資金調達手段となり得ます。
これから申請を検討する場合は、認定支援機関との連携を早めに始め、要件や制度の動向を把握しておくことが重要です。

