事業再構築補助金第7回公募では、新たに「原油価格・物価高騰等緊急対策枠」が設けられ、申請枠の選択肢が広がりました。これまでの採択率の傾向から、通常枠よりも特別枠を活用する方が高い確率で採択されることがわかっています。
本記事では、第7回公募に向けて、過去の採択データや新設枠の詳細、加点項目、スケジュールなど、押さえておくべきポイントをわかりやすくまとめました。応募準備を進めるうえでの参考にしてください。
事業再構築補助金とは何か
事業再構築補助金は、中小企業や中堅企業がコロナ禍や経済環境の変化を乗り越えるため、業態転換や事業再編に取り組む際の支援策です。
売上が回復しづらい状況に対応するため、思い切った事業転換を促すことを目的に設計されています。昨今はウクライナ情勢や円安による物価高騰もあり、制度内容もその状況に合わせて柔軟に見直されています。
これまでの採択率推移と第5回までの傾向
第5回公募の結果では、応募件数21,035件に対して採択件数9,707件、採択率は46.1%でした。通常枠の採択率だけをみると、第5回では39.6%と徐々に上昇しているものの、他の特別枠に比べると依然として厳しい状況です。
特別枠と通常枠の採択率比較
特別枠(卒業枠、緊急事態宣言特別枠、最低賃金枠など)は、採択率が50~80%と高めに推移しています。特に最低賃金枠は7割以上をキープしており、通常枠との採択率の差は歴然です。このため、採択を目指すのであれば、まず特別枠での申請を検討することが賢明といえるでしょう。
第7回公募で選べる6つの申請枠
第7回公募(※2022年7月〜9月公募。現在は終了)では、新たに「緊急対策枠」が加わり、選択肢が6つに拡大しました。
通常枠の特徴
補助額は100万円から最大8,000万円、補助率は中小企業2/3、中堅企業1/2となっています。従業員規模に応じて補助上限が設定されていますが、6,000万円や4,000万円を超える部分については補助率が引き下げられるため、注意が必要です。
大規模賃金引上枠の狙いどころ
従業員数101人以上の企業が対象で、補助額は8,000万円超〜1億円。従業員の賃上げを行う計画が求められ、通常枠よりも高額な支援を受けることができます。
回復・再生応援枠と最低賃金枠のメリット
業況が特に厳しい事業者や、最低賃金近辺で従業員を雇用している事業者向けの枠です。補助率は中小企業で3/4と通常より高く、資金調達面でのハードルが低くなります。
グリーン成長枠は高額支援が魅力
脱炭素社会の実現に向けた事業再構築を支援する枠です。最大1億5,000万円まで補助されるため、大型投資を考えている事業者に向いています。
緊急対策枠で原油・物価高対応
新設された緊急対策枠は、原油価格や物価高騰の影響を受けた事業者を対象に、より手厚い支援を行います。補助率は通常より高く設定されており、現状の経済状況を踏まえた有力な選択肢といえます。
緊急対策枠の詳細と申請要件を解説
緊急対策枠の対象条件
- 原油価格や物価高騰の影響により、2022年以降の任意3ヶ月の売上高が10%以上減少
- 認定支援機関と共同で事業計画を策定
- 補助事業終了後に付加価値額年率平均3%以上増加の見込みがあること
通常枠ではコロナ前の売上基準となるため2021年創業事業者は不利でしたが、緊急対策枠では直近の売上比較が認められ、比較的新しい事業者にもチャンスがあります。
採択率アップのカギは加点項目にあり
採択率を高めるためには、加点項目への対応が重要です。
具体的な加点項目
- 30%以上売上減少している事業者
- 最低賃金枠への申請
- EBPM活動への協力
- パートナーシップ構築宣言
- 再生事業者としての申請
- 特定事業者であること
- サプライチェーン連携体での申請
- 原油価格・物価高騰の影響を受けた事業者
特に緊急対策枠に関しては、物価高騰等による売上減少が加点対象になっており、対象者には非常に有利に働きます。
第7回公募のスケジュールと注意点
第7回公募は2022年9月30日に締切り、採択発表は同年11月下旬から12月上旬にかけて行われました。
すでに公募は終了していますが、今後も類似する枠や追加公募が実施される可能性があるため、引き続き情報収集を続けることが重要です。
まとめ
第7回の事業再構築補助金では、緊急対策枠など特別枠の新設によって、通常枠よりも高い採択率が期待できる状況でした。今後も経済環境に応じた新たな支援枠が設けられる可能性があり、特別枠を優先的に検討する戦略が有効です。
変化に対応した柔軟な事業計画を立案し、補助金を活用して持続的な成長に向けた第一歩を踏み出していきましょう。