東京都が実施する「明日にチャレンジ中小企業基盤強化事業助成金」は、受注型中小企業が技術やサービスの高度化・高付加価値化に取り組むための経費を支援する制度です。
最大で2,000万円、助成率は2/3となり、ものづくりや受託サービス事業者にとって大きな成長機会となります。対象事業者の条件、対象事業の範囲、助成金の金額や申請方法について詳しく解説します。
明日にチャレンジ中小企業基盤強化事業助成金とは
明日にチャレンジ中小企業基盤強化事業助成金は、東京都と中小企業団体中央会が連携して提供している助成金制度です。
主に東京都内の中小企業が自社技術やサービスの高度化・高付加価値化に取り組む際に必要な資金をサポートし、地域経済の活性化と企業基盤の強化を図ることを目的としています。
助成対象となる中小企業とは
助成対象となるのは、主に受注型中小企業やその団体です。受注型中小企業とは、次の条件を満たす事業者を指します。
- 発注者の仕様や規格に基づいて製品やサービスを提供している
- 発注者の商品・サービスの一部を構成している
- 自社の名義で直接最終消費者に提供していない
これに加え、税金の未納がないことや、他の助成金との重複申請を行っていないことなど、信頼性や健全性を示す要件も求められます。
助成対象外となるケースにも注意
過去に不正受給を起こした事業者や、風俗業、ギャンブル業など社会通念上問題があるとされる業種は対象外となります。また、事業継続に不安がある場合も申請できないため、事前に自社の状況をよく確認しておきましょう。
明日にチャレンジ中小企業基盤強化事業助成金で支援される事業内容
支援の対象となる事業は、以下の要件を満たす必要があります。
- 発注者の仕様に基づき製品やサービスを提供する
- 技術やサービスの高度化や高付加価値化を目指す
- 自社内で抱える技術課題を解決する取り組みである
- 最終消費者に直接販売する事業ではない
- 実施場所は東京都内または周辺指定地域に所在する自社工場である
単なる原材料の購入や、既に事業化されている取組で収益を得ているもの、過去に同様の助成を受けた取組と重複する内容は助成対象外となるため、注意が必要です。
助成金額と助成率の詳細
助成金の金額と助成率は、企業規模に応じて次のように設定されています。
- 小規模企業の場合は上限1,000万円
- それ以外の一般区分では上限2,000万円
- 助成率はいずれも対象経費の2/3
このため、規模を問わず、比較的大規模な開発や設備投資にも対応できる内容となっています。
申請区分と助成対象経費について詳しく解説
業種別の申請区分
申請時には、業種ごとに以下の区分を選択します。
- ものづくり区分
製造業に該当し、技術の高度化・高付加価値化に取り組む事業者
(例:加工技術の精度向上に取り組むケース) - 受託サービス区分
製造業以外の事業者で、サービス力向上を目指す取組
(例:受発注管理を可視化するシステムの構築など)
企業規模による区分
また、企業規模によっても区分が分かれています。
- 小規模企業区分
常時使用する従業員数が業種ごとに20人以下または5人以下の企業 - 一般区分
小規模企業区分に該当しない中小企業
助成対象となる経費の内容
助成対象となる具体的な経費は以下の通りです。
- 技術開発に使用する原材料・副資材費
- 機械装置・工具器具のリースや購入費
- 大学や専門業者への委託・外注加工費
- 特許・実用新案の出願や導入にかかる費用
- 専門家による技術指導の謝金
- 展示会出展や広告宣伝にかかる費用
- ソフトウェア開発従事者の直接人件費
幅広い経費がカバーされているため、研究開発から市場開拓まで一貫した支援を受けることが可能です。
申請スケジュールと今後の予定
令和7年(2025年)の募集は、2025年4月1日から4月8日まで書類提出期間が設けられていました。すでにこの期間は終了しているため、次回の募集に向けて事前準備を進めることが重要です。
書類審査や面接審査は6月中旬に行われ、交付決定は7月初旬、助成対象期間は交付日から2026年9月30日までの期間で設定される予定です。
申請時に押さえておくべきポイント
申請時は、申請区分の正確な選択と、すべての必要書類を期限内に提出することが求められます。提出方法は郵送(簡易書留)に限定され、持参やメール送信は認められていないので注意が必要です。
また、助成対象となるのは、助成対象期間中に契約・取得・支払いが完了する経費のみです。契約や発注のタイミングも十分注意しておきましょう。
明日にチャレンジ中小企業基盤強化事業助成金を活用して事業成長を目指そう
生産性の向上や新技術開発への挑戦は、中小企業の成長に欠かせません。明日にチャレンジ中小企業基盤強化事業助成金は、最大2,000万円もの支援を受けられる貴重なチャンスです。
特に、設備投資や技術開発、販路拡大を計画している事業者にとっては、挑戦のリスクを軽減し、次の成長ステージに進むための後押しとなります。
次回の募集に備え、今から計画書や体制整備を進め、確実な申請準備をしていきましょう。