新たに事業を立ち上げる際に活用できる「創業のまち実現補助金」は、特に製造業やソフトウェア業に対し、家賃や設備投資などのコストを軽減する支援策を用意しています。
本記事では、補助内容や申請条件、対象者について詳しく解説します。創業を検討している方はぜひ参考にしてください。
創業のまち実現補助金の概要と目的
新たに事業を開始する中小企業者を支援するため、事業立ち上げ期に必要な初期コストを補助する制度が「創業のまち実現補助金」です。製造業やソフトウェア業を中心に、特定業種の振興と定着を目指し、次の5つの支援メニューが設けられています。
- 事業用施設の家賃支援
- 測定機器等使用料の支援
- スタートアップ支援(設備購入・工場改修)
- 広告宣伝活動支援
- 設備購入支援(特定創業者対象)
支援内容ごとに、対象者や補助金額、申請条件が異なるため、詳しく確認していきましょう。
家賃支援で創業時の負担を軽減できる補助制度
創業初期にかかる家賃負担は経営リスクの一因です。この補助金では、長期的な事業継続をサポートするため、一定額まで家賃の半額が助成されます。
家賃支援の対象条件と補助内容
- 補助率:支払った家賃の1/2以内
- 上限額:最大108万円(1回の申請上限54万円)
- 対象施設:市内の貸工場または貸事務所
- 申請可能期間:連続2年間まで
対象となる事業者は、独立創業後5年未満、もしくは創業支援センター入居中または退去後2年未満かつ創業7年未満である必要があります。
なお、家賃支援の申請は例年3月1日から3月31日まで受け付けていましたが、2025年の申請期間はすでに終了しています。次回の募集情報については早めに確認しておくとよいでしょう。
測定機器等使用料支援で技術開発をバックアップ
製造業やソフトウェア業にとって、試験や開発に必要な設備の使用料は無視できないコストです。これらの費用についても補助が受けられます。
測定機器等使用料支援の詳細
- 補助率:1/2以内
- 上限額:9万円
- 対象経費:県内工業技術センターの設備使用料および試験手数料
こちらも、家賃支援と同様の条件を満たす中小企業者が対象です。開発力向上を目指す創業期の企業にとって、大きな支援となります。
スタートアップ支援事業で設備導入や工場改修をサポート
創業時の環境整備は、今後の成長に直結する重要な要素です。設備投資や工場改修にかかる費用についても補助が行われます。
スタートアップ支援の支援内容と対象設備
- 設備購入支援
- 補助率:1/2以内
- 上限額:20万円
- 工場等改修支援
- 補助率:1/3以内
- 上限額:50万円
対象となる設備は、法人税法や所得税法に基づき事業用資産として計上されるものに限られます。対象外の設備もあるため、申請前に事前相談が推奨されています。
広告宣伝支援事業で販路拡大を目指す
創業間もない事業者にとって、自社製品やサービスの認知拡大は欠かせません。広告宣伝活動に必要な費用も補助対象となります。
広告宣伝支援の対象経費と対象事業者
- 補助率:1/2以内
- 上限額:30万円
- 対象経費:ホームページ制作、パンフレット作成、展示会出展など
対象となるのは、特定創業支援事業による証明を受けた中小企業者です。主たる業種は情報通信業、卸売・小売業、金融・保険業、不動産業、学術研究・専門サービス業、宿泊・飲食サービス業、生活関連サービス業、教育支援業など多岐にわたります。
設備購入支援で成長スピードを加速
さらに、特定創業者を対象とした設備購入支援制度も設けられています。
設備購入支援事業の内容と注意点
- 補助率:1/2以内
- 上限額:20万円
- 対象設備:機械装置、器具などの事業用資産
こちらも、対象外となる設備があるため、補助金の申請前に要件を確認し、必要に応じて相談窓口で詳細を把握しておくと安心です。
特定創業支援等事業とは何か
補助金の対象となる「特定創業者」認定を受けるには、特定創業支援等事業を修了している必要があります。
特定創業支援等事業の概要
- 創業塾:事業計画、資金調達、税務、雇用などを学ぶ6日間以上の講座
- 継続個別相談支援:専門家との個別相談を4回以上受講するプログラム
これらのプログラムは、創業に向けた具体的な準備を後押しし、事業の成功率を高めるために実施されています。
創業補助金の申請スケジュールと注意点
支援を受けるためには、事業完了日や税申告期間に応じたスケジュール管理が必要です。
- 家賃支援申請期間:毎年3月1日〜3月31日(2025年分は終了済み)
- 測定機器使用料・工場改修支援:事業完了から30日以内
- 設備購入支援:
- 個人事業主は所得税申告期間から年度末まで
- 法人は税の申告期限から30日以内
スケジュールをしっかり把握し、余裕を持って申請準備を進めることが大切です。
新たな創業の力強い味方となる補助制度を活用しよう
創業期は、資金繰りや運営基盤の構築で悩むことも少なくありません。「創業のまち実現補助金」は、家賃補助をはじめ、測定機器利用料支援、スタートアップ支援、広告宣伝支援、設備購入支援など、多方面から創業者をサポートする制度です。
これらを上手に活用することで、初期投資を抑え、より安定した経営スタートを切ることができるでしょう。今後の募集情報を早めにチェックし、申請準備を進めることをおすすめします。